第零話 10年クエストの終わり
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フィオーレ王国東方、魔法商業都市マグノリア
「やつならそろそろ帰ってくるころかの…」
バーカウンターの上に胡坐をかいて座っている小さな老人が酒を飲みながら呟く。
あのバカ息子が全員の制止も聞かずに10年クエストに旅立って既に3年。史上最年少でSランクに上がり、あっという間にギルド最強の一角と目されるようになって直ぐに評議院の命令で10年クエストに出かけた。年少ながらも一番落ち着きがあり、極めて常識的な息子じゃった。ヤツが出かけてようやく悟ったことがある。
(常識人が居なくなるってこういう事なのかの…)
この3年で寄せられる苦情の量は目に見えて増加した。別に思ったとおりにやるのは構わない。それがここの魔導士達だ。でも…
(流石にやりすぎじゃろう!!なんじゃこの被害額と始末書の数は!!どうして酒の支払いを評議会に回しとるんじゃ、なんじゃ評議員の孫に手を出すって!!どうしてあやつが居なくなったら問題ばっかり起きるんじゃ)
頭の痛い報告と苦情に頭を悩ます日々が続いている。
(頼むから早く帰ってきてくれんかのう…レイ…)
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ようやく終わった…10年クエスト…」
俺は氷でできた剣を投げ捨ててその場に座り込んだ。
俺、レイ・アイスグラスはマグノリア最大規模の魔導士ギルド『妖精の尻尾』で魔導士をしている。今回与えられたクエストは討伐任務。しかも評議会からの命令で。評議院は魔法界全体の秩序を守るための機関だ。評議会からの命令が個人にくるってのはけっこう重要だったりする。それだけ実力を認められている証というのと同時に、評議院が動かなければならないほど危ないクエストだということだからだ。
俺に依頼が来たときは皆してクエストに行くのをとめた。いや、一人だけ「俺も連れてけぇ!!」とか言ってたやつがいたけど…ともあれ終わったんだ。地獄の10年クエストが。
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