第二章 六話 面接とレース
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。」
シャンプール付近の戦闘におけるギリアスの立てた成果は同じく熟練の0Gドッグであるゲイケットも舌を巻くに十分なものであった。彼は、白野からの教導を受けたとはいえその動きに完全とは言えずともついてこれたのだ。
ユニコーンの快速に追随できるものなど大小マゼランでも数えるほどしかいない。
僅かな間でここまでの成長を見せたギリアスをゲイケットはかなり高く評価している。
後は経験と年齢に伴う【熱さ】を抑制して慎重さをブレンドすれば理想的な0Gドッグとなるであろうと当たりをつけている。
「確かになぁ......」
その成長度合いはルートンも認めるところである。
本来、艦長の仕事というのは【決断】である。
すべての仕事を一人でこなすなどという夢物語を信じている間抜けは置いておくとして、宇宙戦艦を動かすためには必要な人員が多い。
それにおいて艦長のやるべきことは、必要な部署に有意な人間を配置し、戦闘における迎撃か離脱を選択し、砲撃のタイミングなどを指示することである。ついでにクルーの給料を滞らせてもならない。
白野は卓越した操艦技術を有していたのでこの中に【操舵】という項目を付け加えているが。
ゲイケットがギリアスに辛い評価を付けるとすれば、未だにクルーを操艦要員としてしか見ていないということである。
良い艦長は自らの限界を弁え、自分よりもその分野において優れた人物には信頼を寄せるのである。
しかし、ギリアスにはその要素が薄い。才能がありすぎるので、だいたいなんでもできるのである。だから一般クルーを操艦要員としか見られない。
艦船はクルーの協調あって始めて100パーセントの性能を引き出せるのである。
「それにしてもうちの艦長は最初から見抜いていたのだろうか?」
ゲイケットが疑問に思うのも当然、白野がギリアスの才能を見抜いたのはその慧眼故ではなく本来は持ち得るべからず知識によったものであるのだから。
そうでなければ白野はあの時点でバウンゼィを撃沈した......との予想は外れるだろう。
あの時は宇宙港の近くだったのだから、艦船を吹き飛ばせば当然港に被害が及ぶ。白野は賠償金を払うなどごめんであろう。
「そのギリアスだが、近々この星のスペースシップレースに出場するつもりらしいな。」
「アレにか。」
ルートンは小マゼラン出身の0Gドッグであるため、スペースシップレースの存在を前から知っていたらしい。
「長い歴史のあるレースだ。アレに勝てるのはほんの一握りの0Gドッグだけだ。去年は......ランカーのエミーダ・ガヌヌが優勝したな。」
「そんなに難関なのか?」
「コース自体は単純だ。毎回細かに変更されるがだいたいはこのネージリンス本星宙域をぐるりと回る。遠回りしながらな。問題は選手
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