第二章 六話 面接とレース
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アークネージ 裏路地
アークネージにある酒場の裏路地で、ギリアスはガラの悪い0Gドッグ四人ほどを叩き伏せていた。
この手のレースにありきたりの選手妨害である。
「チッ......ったくめんどくせえな......」
痩せても枯れてもギリアスは宇宙を支配すべく日々侵略に勤しんでいる軍事大国ヤッハバッハの皇太子候補である。そこらへんの0Gドッグなど喧嘩の相手にもならない。
「てめえらも0Gドッグならせめて宇宙でかかってきやがれ」
もはや聞こえてもいないだろう残念な四人に捨て台詞を投げつけるとギリアスは踵を返して酒場へと戻って行った。
その数分後である。
四人はむくりと起き上がった。
「いってぇ......」
「何だあいつ!?ガキだと思ってやりあってみりゃめちゃくちゃ強えじゃねえか......」
「四人がかかりでやったのに二分ももたずに......」
「ちくしょ〜」
四人は自分が悪いにもかかわらずギリアスの事をひとしきり罵って逃げるようにその場を去って行った。
哀れである。
*
アークネージ 酒場
現在この酒場はレースに出場予定のギリアス達が半ば拠点のように使用していた。店側としてもレースまでの間上得意の客ができるというので大歓迎である。
「マスター、なんか酒。」
ギリアスが椅子に座り込みながら不機嫌そうに言う。
「どうかなさったのですか?」
「それが外でよぉ馬鹿な連中がレース出場の邪魔をしてきやがる。」
「ああ、お客さんも狙われたんですか......いるんですよねぇ、最近そういうの。」
店主も困ったように首を振る。店主の話では、どうやらこの付近でそうした0Gドッグの妨害を行っているゴロツキが集まってきているそうである。店でのマナーも悪く、店主もほとほと困り果てているのだそうだ。
フン、とギリアスは鼻を鳴らす。もともと粗にして野ながら非に非ずの典型的な少年である。正々堂々正面から決着をつけるのが彼の身上であり、そうした脅迫などをする人間に対して好意的であろうはずがない。
「くだらねえことしやがる......」
運ばれてきたグラスを呷りながらギリアスは呟く。どうも、珍しく平和的なレースだと思っていたが裏の方では淀んだ何かが不気味に蠢いているようである。
ギリアス好みの事態ではないことは確かであった。しかし、彼としてはそんな気に入らない展開には首を突っ込まず、当面は彼に向かってくる間抜け共を先ほどのように叩き伏せることに終始すればいいはずである。
しかし、そこでギリアスはもう一つの可能性に行き当たる。本来の彼なら考えもつかない愚劣な予測であり、本人も考えた直後にそれを棄却しかけたのだが、敵も愚劣であるゆえにその
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