第二章 六話 面接とレース
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多くの0Gドッグと同じように一般クルーのことを操艦要員としか捉えていなかったはずである。
勿論、怪我や病気になれば保証金は下ろしてくれるが今回のように【気遣う】ということはなかった。
それが変わったのである。そして、その大きな原因にはやはりあの銀色の戦艦の主である黒い空間服を着たあの白野とかいうランカーの存在があるのだろう......
「ランカー、か......」
ランカーとは全ての0Gドッグにとって憧れの対象である。ランクインしている0Gドッグはどいつもこいつも常軌を逸している手練れ達である。
ランクインして一定の順位に勝ち上がると、その順位に応じて想像もつかないような高性能モジュールが管理局から支給されるという噂もある。
多くの0Gドッグはそのランカーになることなく一生を終えるが、ごく稀にわずかな期間で急激に順位を上げて0Gドッグの歴史に燦然とした功績を打ち立てるまさに【伝説】と呼ばれるにふさわしい者もいる。
最近では大海賊ヴァランタインが顕著な例であろう。それにあの白野。彼の艦長はその白野に師事している。
自分は歴史に名を残す偉人の近くにいるのではないか?
一瞬そう思う。
「先のことはわかんねえな。」
クルーはそう呟くと、またインフラトン・インヴァイダーの整備を進める。レースの開始まで、まだ数日の時間があった。
*
ユニコーン カタパルト
「では、模擬戦を開始する。これから対戦表を配る。方式はトーナメント。サドンデスだ。最初の十五分は我々の使っている艦載機の操縦に慣れてもらう。人型兵器だ。言うまでもないと思うが、AMBAC(アンバック)機動を活用することも忘れないでくれ。」
AMBAC(アンバック)とは、手足を持つ物体が宇宙空間においてそれを動かすことで発生するモーメントを利用して機動性を増加させることである。
隕石を蹴って加速するというのも、これに当たる。
白野は候補達に一枚一枚対戦表を渡して行く。
カタパルトの壁には対戦相手の組み合わせが表示されたモニターがある。
「では開始する。この中で正式採用されるのは四名。君らの健闘に期待する......ま、頑張れ。」
最後は妙に砕けた口調でそう言った。
候補達はバーク特製球形シミュレーションマシンに入って行った。
*
ユニコーン モニタールーム
白野は無数のモニターがある部屋にいた。部屋、というよりはカタパルトに併設された壁である。
それぞれのモニターは一つ一つに候補者のシミュレーションデータが表示されている。
今のところ人型兵器の操縦に適応しているのは履歴書に人型兵器操縦歴13年とあったNo.53番のレイアム・ロー。54番のカトーのあたりである。
二人はジェガンの操縦にうまく適応してい
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