第24話「異形の力」
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鋭く伸びる刃。まるで装甲のように頭からつま先までをすっぽりと包み込み、それはここに顕現した。
全てを殴殺し、切り刻み、果ては分解するそれは最強の矛。
桁外れの耐久力を誇り、あらゆる一切の危険を遮断するそれは最強の盾
強化スーツ―ガンツ兵器最強の矛と盾―を身に宿し、タケルはついにその力を発揮した。
頭部から甲高いモーター音が鳴り響き、この空間の弱点、つまりはこの空間と現実の世界を結ぶ接点であり唯一の空間の綻びを見つけ出す。
一際大きな音がうなりを挙げた瞬間に、音がピタリとやんだ。
「行くぞ」
空間の綻びに向けられた掌口から光のエネルギーが何度も何度も同じ場所めがけて放たれる。
何度も、何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も。
何の変化も見せなかった空間がピシリと音を立ててヒビを生んだ。何者にも触れることなど不可能な筈のただの空間が顕在、物質化した瞬間だった。
「これっ!」
拳を振り上げた。
腕部に備えられたジェットリンクシステムが作動し、肉眼で視認することすらできないそれをさらに加速、強化。
ガンと、トラックが正面衝突するかのような鈍い音が響き、空間のヒビが広がっていく。パラパラと、まるでガラスが割れ落ちる様に崩れ、遂には人間が通れるほどの大きさにまでその口を開けた。
空間の先ではエヴァンジェリンの家が広がっている。
「……よし」
呟いた瞬間、その空間に身を放り投げた。
まるでそれを待っていたかのように空間の修復力が働きだす。先ほどまで見せていた空間の穴が一気に、まるで何事もなかったかのように元通りに修復された。
満月が辺りを照らす。
先ほどまで寝転がっていた人物は既におらず、代わりに2つの小さな人影が。
「え、エヴァンジェリンさん」
あまりのことに気が動転して『師匠(マスター)』と呼ぶことすら忘れてしまっている。が、エヴァンジェリンもどうやら同じらしい。
「……なんだ」
素になってしまっている。
「今のごつい格好になった人……タケルさん……でしたよね?」
「……ああ」
彼女達は一部始終を見ていた。
タケルが小さく何かを呟き、ゆっくりとその変化を始めたところから、全てを。
最初に腕が長く太くなった。次いで、上半身から順に脚部へかけて、黒い軽装甲のようなよくわからないモノがタケルを包み込んでいった。
唖然とする二人を他所にタケルは行動を開始する。
何やら手から光を放ち、空間をこじ開け、そのまま外へ出て行ってしまったのだ。
「あれもタケルさんの魔法の一種……なんでしょうか?」
ネギの声にも反応を示さず、タケルが
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