第24話「異形の力」
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つも、だが確かに頷いたネギはエヴァンジェリンの背を追ってコソコソと歩き出した。
――おかしい。
いつまでたってもコントローラーに敵位置が表示されないことにタケルは首をかしげていた。
コントローラーが故障していないとして、考えられる原因は2つ。
この閉鎖空間と現実とでは次元そのものが違うため、コントローラーの索敵能力を超えていること。そしてもう一つの可能性はこことあちらの時間差のせいで、まだコントローラーが敵を捕捉するに至っていないということ。
大雑把だが、このどちらか、あるいはその両方と考えていいだろう。どちらにせよ、こちらの空間ではなくあちらの空間に星人が出たと考えるほうが無難だ。
こちらの一時間はあっちの一日。そしてこちらの空間を出るにはあと8時間ほどかかる。つまり、あちらの時間に換算すると、あと20分ほどで元の空間に戻れるということになる。
――20分か。
「……少し長すぎるな」
もしも凶暴な星人ならどれほどの被害が出るか分からない。いざとなったら学園長やタカミチなど、頼りになる人間がいるので心配する必要はないかも知れないが、元々星人をこちらに連れてきた原因はタケルにある可能性が高い。
義務と矜持と責任と……そして僅かの楽しみと。
それらの複雑な想いが星人を放置することを許さなかった。
「……とはいっても」
困ったように周囲を見渡す。
当然だが、何もない。というかここを出る方法は時間経過を待つしかないと、エヴァンジェリンには強く言われているのだ。
ちなみにだが、ガンツによって自身を転送してもらうという手段はない。なぜかミッションクリア時にはタケル自身を転送してもらえるものの、始まりのときは送ってくれないのだ。
タケルからすれば理由は不明だが、ガンツがそれをしてくれない以上、自力でここから出るしか方法がない。
空間そのものからの脱出方法などあるはずがない。
考えること数秒。
「……いや」
一つだけ可能性のある兵器があった。
常に持ち歩いている黒い球を握り締め、呟く。
「ガンツ……武器の転送を頼む」
待つことさらに数秒。だが、なかなか転送が始まらない。
「……遅いな」
こちらとあちらの時間にずれが生じているせいか、ひどくゆっくりと転送がはじまり、これまたゆっくりと目当ての兵器がタケルの体へと送られてくる。
「……やるか」
この世界に来てからは初めて使うことになるソレが直接自分の体へ装着されるサマを見つめ、ただしっとりと呟いた。
身長と変わらぬほどに長い腕。それを自在に操るための強靭で柔軟な、大木のような太い腕回り。肘の先から
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