第24話「異形の力」
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もしもネギが嘘をついていないとして、また隠し事をしているわけでもないと仮定するなら、きっとそれはネギの性格上の問題なのだろう。過去にでも何かトラウマのようなものがあったのかもしれない。
パシンとネギの足音が再度、耳に届いた。
「……」
努力家、といえば聞こえはいいが、あれでは周囲を見ることも自己管理も出来ていないただの迷惑な存在でしかない。
事実、ネギの負担を心配してアスナたちもここまで乗り込んできたのだから、既に周りにも迷惑をかけている。
「……注意しておくか」
腰を浮かせかけ、そこで自分の馬鹿らしさに気付き、浮かせかけていた腰を地面に落とす。
――……まぁ、気にする必要はないか。
そもそもが全部、空想上の話だ。
もしかしたらネギが本音を隠しているとか、実は差し迫った危機が存在して、ソレに向けて準備をしているのかもしれない。
結局、真実がどうであるにせよ、ネギ自身が解決しなければならないのだ。他人が口を出すようなことではない。
「……ふぅ」
小さなため息を吐き、そのまま目を閉じる。
いつもなら眠ってしまうであろうこの時間だが、なぜか眠気はまったくこない。それでもただ、目を閉じ、ボケッと過ごす。
「……」
いつまでそうしていただろうか、気付けば小気味良く流れる足音が耳に届かなくなっていた。
ここに来るとき、雨が降り始めていたことを何となしに思い出した。
――今頃は本降りかな?
そろそろ布団に入ろうと体を起こし、立ち上がった瞬間。
ゾクリと例の悪寒が彼を襲った。
同時刻。
現実世界では、タケルの予想通りに雨が容赦なく降り注ぎ、空には雷雲を運び込んでいた。
エヴァンジェリンの特殊空間では既に16時間以上がすぎているが、現実にはまだ40分程度しか経っていない。
雷雲のせいで外は真っ暗だが、もし空が晴れていればまだ太陽がある時間だ。
誰もが外に出ることを控えるほどの激しい雷雨と、道に溜まる雨水が人影を失くす。実際に、いつもは道を行き交う人々が必ずあるはずの路傍を通る人間は今は一人もいない。
それが元々人通りの少ない裏道となれば、尚更人影などあるはずが……いや、あった。
傘をささず、雨に打たれるままに裏通りで。老齢にさしかかろうとしている男が一人、ただ麻帆良学園を見上げ、突っ立っていた。
不思議なことに、雨にさらされているはずの服も体も濡れた様子はなく、まるで見えない合羽(かっぱ)を着込んでいるかのよう。
男は一歩も動かず、そのままズブリと地面に沈み込んでいく。
ゆっくりと、まるでそれが自然であるかのように。
やがて、全てが地
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