第八十一話 バトルゲームその三
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その魔の鬼がだ、上城に恐ろしい速さで向かってきたのだ。
「lこれは」
「俺の新たな力の使い方だ」
それが今出した鬼だというのだ。
「鬼とも言うか、只の魔じゃない」
「只の、ですか」
「己の意思を持っている、言うなら俺の分身だ」
それがこの鬼だというのだ。
「そう簡単にやられる相手ではない」
「そうみたいですね」
「一旦当たればそれで終わりだ」
「その力の強さ故に」
「そうなる、これでだ」
まさにだ、その力によってというのだ。
「あんたは終わりだ」
「はい、当たれば」
「当たればか」
「僕も終わりです」
このことは把握していた、彼も。
しかしだ、上城はここでこうも言った。
「ですがそれでもです」
「当たるつもりはないか」
「これまで氷は出しましたが」
「今度は違うか」
「氷を使うにしても」
それに加えて、というのだ。
「やり方がありますので」
「色々考えているか」
「ええ、それじゃあ」
「見せてもらうか」
そのことにさえ楽しみを感じつつだ、加藤は言う。
「あんたのそれをな」
「貴方は今もですか」
「楽しんでいる」
実際にだ、そうだというのだ。
「存分にな」
「そうなんですね」
「何度でも言う、俺は戦いがこのうえなく好きだ」
それで楽しんでいるというのだ。
「だからこそな」
「ですか」
「ではどうする」
この魔の鬼をどう防ぐかというのだ。
「尋常なものでは防げない筈だ」
「ええ、それは確かに」
「しかし防ぐつもりだな」
「はい」
この考えは変わらない、上城にしても。
「そうしてみせます、絶対に」
「ではその防ぎ方を見せてもらう」
何処か楽しげにだ、加藤は上城に告げる。
「今ここでな」
「じゃあ」
上城は構えたその剣に力を込めた、すると。
剣に帯させている水が変わった、それまでは凍てつく氷だったが一瞬にして周囲に凄まじい蒸気を放つものになった。
水自体も剣を纏いながら激しく泡立っている、それこそは。
「沸騰しているな」
「水は熱を入れればこうなりますね」
「ああ、沸騰する」
百度でそうなる、そして零下を切れば氷になる。
「そしてそれ自体がだ」
「相当な熱さになります、これで」
言いながらだ、上城は己のすぐ前にまで迫ってきていた鬼に正面から剣を突き刺した。
そのうえで剣に纏わせているその沸騰させた熱湯の力を発散させた、すると。
魔の全身を熱湯が駆け巡る、蒸気もまた。加藤は己が出した鬼の中を駆け巡るその熱湯と蒸気を見ながら言った。
「百度を超えているな」
「千度は」
「千度以上の蒸気か」
「それは最早マグマと変わりませんね」
「そうだ、それにだ」
加藤もわかる、このことは。
「炎よりも
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