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少年少女の戦極時代
第74話 ライダーズ・オン・ステージ B
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 月花は戦いの最中にあってさえ感動していた。

 ヘキサが光実と二人で踊っている。兄妹が手を取り合って最前列で、まるでバレェのように。
 初めての時は失敗したコラボレーション・ダンス。それが今日、ここで、実現した。

(ヘキサがずっとやりたかったこと。お兄さんのミッチくんといっしょに踊ること。これを最後までやり通させてあげなきゃ)

 ステージに向かおうとするインベスを、片っ端からDFバトンで叩き返す。その中の一体のインベスが客の近くに倒れたことで観客の列が割れた。

「ゲッ」
『あー!』

 割れた列の後ろから出てきたメガネの男。これが誰かを知らない月花ではない。
 月花は回れ右をして、BGMに負けない大声で叫んだ。

『チームインヴィットさーん! リーダーの城乃内サンここにいますよー!』
「うわこら! 何てこと…っ」

 わっ、と駆けつけたインヴィットの女子たちが、すばやく城乃内を取り囲んだ。
 わいのわいのと城乃内をインヴィットのステージに連行するマゼンタカラーの女子たち。何のかんのと、ステージに上げられるとダンサーの血が騒ぐのか、踊り始めた城乃内。

 月花はそれを見届け、ナックルの援護に走った。 月花はナックルの前にいたインベスにドロップキックを食らわせて着地する。

『ぶじ?』
『この程度で泣き言なんか吐けるか』
『よかった。アッチ押さえたから、もうインベス増えないよ』
『……お前ってサイッコーのクソチビだ』

 インベスが月花とナックルに飛びかかってくる。月花はDFロッドで、ナックルは巨拳で返り討ちにした。
 すると今度は下級インベスではなく、セイリュウインベスが現れた。
 まずい、と月花は思う。このインベスは確か火を吐く種類だったはずだ。

(DFボムで相殺する? だめ、それじゃ後ろで踊ってるヘキサや舞さんたちもあぶない)

 セイリュウインベスがカッと口を開く。
 だがセイリュウインベスが火を噴くことはなかった。セイリュウインベスの口を塞ぐように白い槍を横薙ぎにした者がいたのだ。
 それはバナナの鎧をまとった、赤い騎士だった。

『戦いはまだまだのようだな』
『戒斗!?』
『何でっ? ビートライダーズ抜けたって』

 バロンはバナスピアを振り抜き、月花とナックルの横まで下がってきた。

『室井。葛葉のほうへ行け。ここは俺とこいつで十分だ』
『わ、わかった』

 月花はバロンとナックルから離れて、ブラーボと戦う鎧武の下へ急行した。


 鎧武は戦極ドライバーを何かいじっている。新しいアームズかもしれない。卑怯にもブラーボが武器を投げて邪魔しようとしたので、月花はDFロッドを外してバトンにして投げた。バトンがブラーボの武器にぶつかり、弾き返す。

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