第五十四話 音楽喫茶その九
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「漁師さんはもっと怖いけれどね」
「そういえば何か言ってましたね、江田島で」
「漁師さんは滅茶苦茶怖いって」
五人はここで夏の修学旅行の時のことを思い出した、江田島は周りが海なので漁師の人も数多いのである。
それでだ、その漁師さんはというと。
「自衛官の人達が一番恐れてるって」
「そこまで怖いって」
「若し漁網とか船に引っ掛けたりぶつけたりしたらね」
その時はというと。
「数億円要求されるから」
「漁網とか船って確かに値段は張るし商売道具ですけれど」
「そんなにですか」
「そうよ、漁師さんはガチよ」
まさにそれだというのだ。
「役場の人が鯨漁で港に追い込んだのをやり過ぎだって言いに行ったら酒瓶で頭殴られたって話もあったからね」
「鯨!?昔ですよね」
「というかそんな話もあったんですか」
「役場も人もぶん殴るって」
「しかも酒瓶で」
「そうよ、高知辺りの話よ」
瀬戸内ではないがというのだ。
「あそこでね」
「今じゃ絶対にないお話ですけれど」
「鯨については」
「けれど役場の人ですらそうなることはですね」
「有り得るんですね」
「ヤクザ屋さんじゃそこまでしないでしょ」
役場の人が来ても酒瓶でぶん殴ることまではというのだ。
「流石に」
「次は警察が来ますからね」
「しかもヤクザ屋さんだと余計に」
「ただでさえ警察に睨まれてるのに」
「ヤクザ屋さんではないですね」
「そう、ヤクザ屋さんには天敵がいるのよ」
それが警察だ、ヤクザも無敵ではないのだ。
「けれど漁師さんが怖いのは自然現象だけよ」
「嵐とか津波とか台風ですね」
「そういうのは怖いんですね」
「しかも漁から朝早く帰ってお昼にはもう大酒飲んでるのよ」
漁師の朝は早い、夜のうちに海に出てそれで陽が昇らないうちに肴を獲ってそして帰って来る。昼にはもう飲んでいるのだ。
その飲んでいる荒くれ者達のところにだ、文句を言いに言っても。
「怪我するだけよ」
「じゃあ役場の人が悪いんですね」
「そんな時間に抗議しに行くのが」
「それ自体が」
「しかもカタギだし色々特別な社会だから警察も入りにくいからね」
人間世界の驚異には強いのが漁師だというのだ。
「おまけにいつも海を相手にしている荒くれ者達よ」
「だからヤクザ屋さんより怖いんですか」
「それが漁師なんですね」
「だから海自さんも注意してるのよ」
漁師達と揉めない様にというのだ。
「大体一般市民に傷付けて何が自衛隊ってなるから」
「相手がヤクザ屋さんより怖くてもですか」
「明らかにふっかけられてもですか」
「文句言えないわよ」
自衛隊は、というのだ。
「だから幹部候補生学校、江田島のね」
「あそこにいる人達もですか」
「世が世なら海
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