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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
3:第五十二層
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 我も続かんと一歩進み出たアスナが俺の声を打ち消した。
 だが…これ以上、彼女達の思い通りにさせてはいけない。彼女達の安全の為にも退くわけにはいかないのだ。
 俺は構わず言葉を続けた。

「だ、ダメだ……みんなの気持ちは嬉しいけど、危険なものは危険なんだっ! やっぱりここは俺一人で調べるから、みんなは戻っ」

「――キリト君は他の女の子に、随分とカッコイイ事言いふらしてたんだね」
「……………」

 一瞬で体中の血の気が引く。
 そこには、すっごくイイ笑顔でニコニコするアスナの美しく、冷たい顔があった。

「キリト君はそんなカッコイイ事を言っておいて、その女の子達を置いていって心配させるんだ……? わたしには、あまつさえ置いてって心配させてる挙句、更には気の効いたセリフすら言わせてくれないんだ……?」

「そ、それとこれとは話は別でっ……」

「……何が別なのかな? もしかして、わたし達の心配と覚悟は、キリト君にとって、別にどうでもいい……って意味なのかな……?」

 まずい……いつの間にかアスナの怖い笑みが、後ろの二人に伝染している……。

「い、いや違うって……だけど……そ、そうだっ。これだけの人数だと、流石に誰かがヘマして足手まといに……」

「あら」

 ――ヒュン!! ブンッ!! シャキン!! パカッ。

「……さて、そんなキリト君に問題です」

 気がつけば、俺の目の前にはレイピア、頭上にはメイス、首元にはダガーが突きつけられ……おまけにピナまでもが、いつでも俺の顔面にブレスを吐ける様に、大きく開けられた口が向けられていた。

「この中で、足手まといは誰でしょうか?」

「…………俺でした。本当に、すみませんでした……」

「よろしい」

 もう……ノーと言えなかった。言える訳が無かった。
 どうして俺の知る女性達は皆、こうも強かで……笑顔が素敵なのだろう。素敵過ぎて、背中の冷や汗が止まらなかった。

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