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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
3:第五十二層
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いよ口を開けたまま何も言えなくなる。

「……キリト君、怒るよ? また誰かに頼ろうとも考えずに、一人で危険に首を突っ込んじゃって……。危険な依頼とはいえ、協力をしちゃいけないなんて、誰も一言も言ってないんだから、ね?」

 ふわりと、羽毛のような微笑みで優しげに言うアスナ。
 その顔を隣で見上げていたシリカが、それと全く同じ微笑みを浮かべて俺を見た。

「いつもみたいに、高レベルのボス相手での攻略とかだったら、キリトさんすごく強いですし……問題無いかもしれません。加勢も、あたしなんかじゃとてもムリでしたけど……今回ばかりは別です。キリトさんが他のプレイヤーさんに故意な悪意で狙われるかもしれない……そんな話を聞いて放ってはおけません」

「だ、だけどっ……死神は殆ど素性が分からない謎だらけのヤツなんだ! ヤツはまだ誰も殺してないみたいだけど……ヘタしたら、自分が最初に殺されるかもしれないんだぞ!?」

「だからよ。――あんた、まだ分かんないの?」

 リズベットは眉の角度をキツくして俺を睨んだが、

「えっ……?」

 そんな返答をすると、いよいよ呆れたように腰に手を当て溜息をついた。そして横に並ぶ二人を見やり、

「アスナ」
「うん」

「シリカ」
「はい」

「……このバカチンに、あたしたちの本音、言ってやりなさい」

 そう言うと、言われた二人は目配せをして、クスリと微笑みながら俺を見て……

「「――みんな、あなたの事が心配なんだよ(ですよ)」」

 口を揃えて、まるで子供に言い聞かせるように言った。俺が目を丸くすると、二人は更に笑みを深くし、リズベットはフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「あんた、言ったわよね。『誰かを見殺しにするくらいなら、一緒に死んだほうがマシだ。』ってさ。勿論、死ぬ気なんてサラサラないけど……事件の話を聞いてハイそうですかって、ハンマー片手にお店でただ待ってられる訳ないじゃない。……それに、あんたには生き残ってもらって第二ラウンド……じゃなくて! ……そ、その剣のお代をあっちで払って貰わなくちゃいけないんだからね!」

 次にシリカが一歩進み出る。

「キリトさん、あたしにも言ってくれました。『レベルなんてただの数字だよ。この世界の強さは単なる幻想に過ぎない。そんなものよりもっと大事なものがある』って。キリトさんは、あたしと一緒にあたしの大事なものを蘇らせてくれました。だから、今度はあたしに恩返しをさせて下さい。あたしは大事なものの為に、また一緒に行きます。……でないと、次に現実世界で会った時……お友達として顔が立ちませんから」

 きゅるーっ! と、ピナが決意に満ちた鳴き声を上げる。

「みんな……だけど、俺は皆には……」

「キリト君」
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