六十八 禍の根
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笑しつつ、助言する。
「そうだな…まずはシカマルに相談したらどうだ?シカマルのお父さんのシカクさんはかなりの切れ者だから、心強い味方になってくれるかもしれないよ」
「………わかった」
暫し逡巡したものの、渋々頷くサスケ。彼にとっては、自身のプライドより兄との約束のほうが大事だった。
こうしてカカシとサスケはダンゾウの火影就任を阻止すべく、秘密裡に行動を開始する。特にサスケの署名運動は同期の下忍達に秘かな衝撃を齎した。
彼らのサスケにおける認識が『スカした奴』から『意外といい奴』に変わるのはこれから後の話…−−−。
冴えた月が皓々と輝く空。
月を背景に佇む城は圧巻で、綱手は思わず感嘆の吐息をついた。
「流石、文化遺産に保存されてるだけあるねぇ…」
先ほどまで酒を飲んでいた彼女は、酔い醒ましがてら散歩していた。自来也とは居酒屋で別れ、観光名所である短冊城を見物する。
「いや〜…やっぱり短冊城って堂々たるものですねぇ!」
綱手を居酒屋に迎えに来たシズネも、彼女の散歩に付き添っていた。威風堂々たる城の景観を楽しむ。
「アマルとトントンも連れて来れば良かったですね、綱手様!」
「また明日にでも連れて来ればいいさ……こんな見事な月が見られるんだったら、酒でも持ってくれば良かったねぇ」
「まだ飲むんですか!?」
さっきまで自来也様と十分飲んでたじゃないですか、と呆れ果てた表情でシズネが苦笑する。軽口を言い合いながら楽しげに歩いていた彼女はふと、今思い立ったように「そういえば、」と綱手に尋ねた。
「自来也様のご用事は何だったんです?」
「ああ。それは…−−−」
シズネの問いに答えようとした綱手が不意に口を噤んだ。
急に立ち止まった綱手の背中に「……綱手様?」とシズネが不思議そうに声をかける。だがやけに険しい横顔を見て、彼女もまた眉を顰めた。
厚い雲が月を覆い隠し、深まる夜。綱手とシズネの姿が城の影に呑み込まれ、辺りはたちまち闇に包まれた。
幽暗に閉ざされたその場で身動ぎ一つしなかった綱手がスッと目を細める。
突如、雲が途切れた。
再び顔を出した月明かりに、城が鮮やかに浮かび上がる。そして同時に崩れ落ちた。
目前で堅固な城が崩壊してゆく様を綱手は動揺する素振りもなく見つめる。
「……見つけたわよ」
一瞬で城を瓦解した犯人。月を背景に冷笑する相手を綱手は鋭い眼光で見据えた。
「――――綱手」
「―――大蛇丸」
綱手・自来也・大蛇丸。
共に『伝説の三忍』と謳われたかつての同胞。その三人が、今、この街に集結した。
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