六十八 禍の根
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らね」
その一言を受けて、サスケはぽかんと口を開けた。やがてじわじわと真っ赤になった顔を隠すように思いっきり俯く。サスケの珍しい反応を目にして、カカシの口端が秘かに緩んだ。
だがすぐさま顔を引き締めて、声を潜める。
「火影に認められるには大名と上忍衆の承認が必要不可欠。だけど、大名からの承認を得た時点でダンゾウが火影に就く事は事実上確定している」
「じゃあ、どうするんだよ…っ?」
カカシに合わせて、サスケもまた声を低くした。今や二人の会話は、ほとんど囁き声に近い。
「まぁ聞け。火影を選ぶ権利は何も大名と上忍に限った事じゃない…―――そもそも大名に対してもダンゾウは一方的に火影就任を宣誓したと聞く。三忍は誰一人として里におらず、火影候補は一名のみ…これだけの条件が揃う今、大名がダンゾウの要求を呑んでもおかしくはない」
「三忍の不在時を狙った、という事か…?」
「さぁ…?でもダンゾウの意思がどうであれ、自来也様が捜索中にも拘らず火影就任を早めるのは、里の意志に反していると俺は思うよ」
「……それじゃ、俺達に出来る事は…」
眉根を寄せるサスケに対し、カカシは目を細めた。そしておもむろに、ぴんっと指を二本立てる。
「俺達が出来る事は二つ。一つはダンゾウ承認の件を認めないよう上忍達を説得する事。もう一つは署名を募る事だ」
「署名?」
首を傾げるサスケに、カカシは立てていた指を下ろして説明を始めた。
「火影候補が一名のみの場合、その支持率が全有権者数の三分の一以上でなければならない。そこを逆手にとる」
「…つまり?」
「ダンゾウの支持率を三分の一未満に抑えることで、再度綱手様を火影候補として挙げる。そうすれば大名も再検討せざるを得ない」
火の国の大名と設けた会議において、ダンゾウはまず有力候補の自来也を封じる為に強硬手段に出た。自来也が里を出た機を見計らい、決定権を持つ大名へ火影の即決を求める。
聊か決断力に欠ける大名はダンゾウの気迫と巧みな話術で言い包められ、彼を火影に任命してしまったのだ。
火影任命の権利は大名と上忍衆が大きく有している。だが有権者は一応里人も含まれており、なかでも血継限界が多い木ノ葉において一族の力は大きい。
そして大名からの承認を半ば強引に得たダンゾウは、今現在上忍衆からの信任投票を控えている。
つまり信任投票が終わる前に、日向や奈良、油女・犬塚といった名族から出来るだけ多くの署名を募り、その署名状を提出すれば、ダンゾウの火影罷免も夢ではないという事。
「運の良い事にお前の同期はほとんどが名門の嫡子だ。その子達に協力を仰げ。俺は上忍達に呼び掛ける」
「……………」
今まであまり人と慣れ合わなかった為、サスケは正直気乗りしなかった。見兼ねたカカシが苦
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