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渦巻く滄海 紅き空 【上】
六十八 禍の根
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にするな。いつ何時、誰に見られてるのかわからないんだから」
慌ててサスケの口を手で押さえ、カカシは口許に人差し指を寄せた。し〜…と子どもを宥めるような仕草に、「ガキ扱いするな」とサスケが顔を背ける。
青筋を立てつつも罰が悪そうな態度を見て、カカシは含み笑った。

「現に子どもでしょーよ…―――それで結局、お前は何が言いたいわけ?」
「…ダンゾウ以外に火影候補はいないのか?」
「あー…そういうこと」

兄との和解時に、サスケは綱手の事をナルトから聞いていた。故に自来也とナルが綱手を捜索しに向かっているのだと分かっているものの、自分がそれを知っているのは妙なので、わざと知らないふりをする。
素知らぬ顔で訊ねると、案の定カカシは得心がいったとばかりに頷いた。


「サスケは知らないよな…今に自来也様がその火影候補を連れ帰って来るよ。自来也様と同じ三忍の一人、綱手様だ」
一方のカカシは、取材旅行と称した旅の目的を自来也本人から直々に聞いていた。だからこそ彼はダンゾウの火影就任の件について余裕染みていられるのだ。

今にきっと、自来也が綱手を里に連れ帰る。それまで辛抱すればよい話だと。
だがその楽観的な考えは、瞬時にサスケが一蹴した。


「そんな悠長にしてていいのかよ!?その火影候補が本当に火影就任の話を呑むかも分からないんだろ!」
「………っ、」
「見つかるかも分からない、火影になるかも分からない…何の根拠もないじゃねえか!そいつを待ってる間にダンゾウが何も手を打ってこないと本気で思ってんのか!?」
「…………」
「カカシっ!!」

畳み掛ける。駄目押しとばかりに名を呼ばれ、カカシは逸らしていた視線をサスケに向けた。その真っ直ぐな眼差しとうちは一族の証である『写輪眼』に、彼は昔の友の面影を見る。


(……俺はいつも、口先ばかりだな…)
なぜか、かつての親友に叱咤された気分に陥って、カカシは改めて自身を嘲った。そしてやにわに印を結ぶ。
「【口寄せの術】!」


突然忍犬を口寄せし、何事か言いつけているカカシを、サスケは呆然と眺めていた。頷いた忍犬が颯爽と窓を飛び出してゆく様を見送ってから、ようやくカカシが振り返る。

「今、俺の忍犬が自来也様にダンゾウの件を伝えに向かった。既に綱手様と接触なさっているのなら、すぐにでも里へお戻りになるよう言付けを頼んでおいた」
「……協力、してくれるのか?」
我に返ったサスケがおそるおそる訊ねると、悪戯っ子のようにカカシは今一度口許に人差し指を寄せた。

「大きな声では言えないけど、俺もダンゾウのやり方は好きじゃないんでね。それに、何時になくお前必死だし」
未だに唖然とするサスケの頭をカカシはぐりぐりと撫でた。


「教え子の意志は大切にしたいか
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