少女と亡霊
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ハッピー、ルーさん、知ってるの?」
面識はないがその名は知っている。
楽園の塔にて敵対した男。
「知ってるも何もコイツはエルザを殺そうとしたし、評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ!」
「そのせいで評議院は破壊されたし、ナツとティアだって大変な思いしながら戦ったんだよ!」
ハッピーとルーは喚く。
それを聞いたウェンディはジェラールを見つめ、その体を小刻みに震わせて俯いた。
「そうみたいだね・・・」
「生きてたのかコイツ〜」
「むぅぅ・・・ナツとティアが倒したはずなのに」
2人は憎々しげにジェラールを睨む。
「この男は亡霊に取り憑かれた亡霊・・・哀れな理想論者。しかし・・・うぬにとっては恩人だ」
「ダメだよ!絶対こんな奴復活させちゃダメだ!」
「そうだよ!コイツのせいで沢山の人が傷ついたんだ!」
ハッピーとルーはウェンディを見ながら叫ぶ。
が、ウェンディは俯いて震えるだけ。
「「ウェンディ!」」
2人の声が重なる。
「早くこの男を復活させぬか」
そう言うブレインの手に、1本のナイフが握られる。
そして、そのナイフはジェラールの右腕に突き刺さった。
「・・・!やめてぇーーーーーーーーーっ!」
ウェンディの悲鳴に似た声が響き渡る。
「あう!」
すぐにブレインの杖がウェンディを殴り、ウェンディはドカッと近くの壁に飛ばされた。
「治せ。うぬなら簡単だろう」
「ジェラールは悪い奴なんだよ!ニルヴァーナだって奪われちゃうよ!」
「コイツはジェラールを最後まで信じようとしたエルザも裏切ったんだ!そんな奴を治しちゃダメだ!」
ブレインは命令するように言い放つ。
ハッピーとルーはウェンディを説得するように叫んだ。
「それでも私・・・この人に助けられた・・・私だけじゃない・・・アラン君も、ココロちゃんも・・・」
ウェンディの体が小刻みに震える。
その握りしめた拳に、ポタポタと雫が零れた。
「大好きだった・・・」
ボロボロと、ウェンディの頬を大粒の涙が伝う。
その姿と言葉にハッピーとルーは言葉を失い、ブレインは薄い笑みを浮かべた。
「何か・・・悪い事をしたのは噂で聞いたけど、私は信じない」
「何言ってんだ。現にオイラ達は・・・」
「きっと誰かに操られていたのよ!ジェラールがあんな事するハズない!」
ハッピーの言葉を遮るように、ウェンディが叫んだ。
「お願いです!少し考える時間をください!」
「ウェンディ!」
「何言って・・・!」
ウェンディの頼みに対し、ブレインは少し考えると口を開いた。
「よかろう。5分だ」
猶予は5分。
ウェンディは涙を浮かべてジェラールを見つめた。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ