04 「意外とお茶目」
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はファラと一緒にテレビでも見てのんびりしててくれ」
「いえ、私も手伝いましょう」
「いや、客に掃除させるわけには……」
「しばらく世話になるのですから、客扱いはやめてください。それにふたりでやったほうが早く終わるはずです。そうすれば、今日やれることが増えるでしょう」
「シュテルがそう言うなら……効率が良いのは確かだし」
「では、さっそく始めるとしましょう」
俺とシュテルは掃除用具を取りに行く。その間、ファラをリビングに置くのも忘れない。
いつもの場所に置くとファラは、むすっとした顔ですぐにテレビを見始める。シュテルがこの家で生活することが決まってからというもの、ふてくされた感じになってしまい、あまり話そうとしない。
人間らしい行動ではあるが、シュテルも仕事で来ているわけで……どう機嫌を直せばいいのだろうか。
「ファントムブラスターのことが気になりますか?」
「ん、まあ……あそこまでなったことは今までなかったから。悪いな」
「何を謝っているのですか? 彼女には通常のデバイスと違って表情がありますし、あなたは彼女のマスター。気になるのは当然……」
ふとそこでシュテルは言うのやめた。手を口元に当てているということは、これまでの経験から判断して何かしら思考しているのだろう。
「どうかしたのか?」
「いえ……ファントムブラスターはデバイスと思っていました。いや、今も思っています。ですが私は、無意識にファントムブラスターに対して彼女という言葉を使いました」
「……別に変なことじゃないと思うが? 性別は女なんだし」
「それはそうなのですが……人が自然と人間のように扱ってしまうことが、ファントムブラスターを短時間で人間らしくした要因かもしれませんね。興味深い……」
「あのさ、何かするなら俺ひとりでやるけど?」
「ご好意感謝します。ですが一度やると言った以上は、最後までやり遂げます」
そこまで言うほどのことでもないと思うのだが……まあ、やると言っているのだからやってもらおう。
これまでの掃除の手際を見る限り、人並み……いや人並み以上に家事はできるようだしな。レーネさんと違って、シュテルは身の回りのことも自分でやっているんだろ。
こうして比較対象がいると……俺の叔母がいかにも恥ずかしい大人だって思えてくる。やれば出来るタイプならいいけど、叔母は完全に仕事しかできない人だからなぁ……。
そんなことを思いながら、掃除の仕方などの必要な会話しかせずに掃除を進めていると、突然シュテルが動きを止めた。
彼女の視線の先には、ふたつの写真が置いてある。ひとつは今よりも幼い俺が、両親に挟まれて写っているもの。このときの俺は、純粋な笑顔を浮かべている。もうひとつは、今年の4月頃にはやてと撮ったものだ。両親と写って
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