第70話 合同ダンスイベント前夜
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合同ダンスイベントを明日に控えた夜。
呉島邸の光実の部屋では、光実と碧沙が、明日のイベントの会場になる場所の見取り図を間に、最終打ち合わせをしていた。
主催はチーム鎧武で、光実は実行委員長のようなポジションだ。やることが大胆な分、最後まで粗がないか確かめる必要がある。
チームの位置や開始時刻、何度確かめてもやりすぎということはない。
「正面がこっちで――こっち向いてやればいいのよね」
「設置する時はみんなユニフォーム隠してもらうから――」
「じゃあ待機中は――」
「この時間帯でバサッと登場して――」
「スピーカーはフリーステージのと同じの借りれたから、タイマーで――」
そうしていると、ノックの音がした。光実は内心訝しむ。音が近すぎる。
「夜更かしは感心しないぞ」
すでにドアは開けられていた。貴虎が腕組みをしてそこに立っていた。貴虎が音もなく開けたドアをノックしたから近く聞こえたのだ。
「ごめんなさい、貴兄さん。どうしてもやっておきたかったの」
「――宿題か?」
「うん。明日が期限なんだ。それに人の意見が要る課題だから、僕も碧沙も」
「今夜だけ許して? ね?」
貴虎は光実と碧沙をじーっと見る。光実は心臓を跳ねさせながら笑顔を精一杯保った。
「……しょうがないな。朝寝坊しないように気をつけるんだぞ」
「「はあい」」
ドアが閉じる。貴虎の足音が聴こえなくなるまで待って、改めて光実と碧沙は向き直った。
「……バレた?」
「大丈夫、だと思うけど」
正直不安だ。ドアが開けられたタイミングによっては、明日の計画を聞かれた恐れもある。だがそれだと、貴虎は知っていて光実と碧沙の行いを黙認したことになる。
大きな真実を知った光実だが、まだまだ貴虎の本心は読み取れない。
「明日のステージおわったら、貴兄さん、怒るかしら」
「碧沙がビートライダーズしてるのはまだバレてないからねえ」
光実はスパイというお題目がある。敵の懐に入り込むためにダンスをしていると言えばいい。だが碧沙にはフォローできる材料がない。
「いっそのこと、碧沙も戦極さんに頼まれたことにしちゃおうか」
「それはさすがに……あの人に悪い気がする。それに、フリでも咲たちをスパイしてるなんて……」
「――そうだったね。ごめん。今の無しで」
しおれる碧沙の髪を梳いてやる。――曲がらない性格なのがこの妹の魅力だった。
「兄さんよりも、明日やることのほうは、下手すると警察沙汰かもね」
話題を逸らすために言ったが、光実の表情は締まりない。光実自身、楽しみでしようがないのだ。
光実は何も貴虎への反発だけでビートライダーズに入ったのではない。ダンスは、呉島
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