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勇者番長ダイバンチョウ
第11話 強敵襲来!その名はイインチョウ?
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チョウは情けない事に動けなかった。
 先の先までイインチョウに散々投げつけられたダメージが今になってダイバンチョウに響いてきたようだ。
 駄目か、クソっ! 情けねぇ!!
 目を瞑り、少女が押し潰される光景を見ないようにした番。だが、ビルが崩れ落ちる音が突如として止んだ事に疑問を感じ、視線を再びビルへと向けた。
 其処には、巨大なビルを体全体で支えて必死に少女を守ろうとするイインチョウの姿があった。
【あいつ―――】
 番の目の前では、必死に巨大なビルを押し退けようとしているイインチョウの姿があった。
 だが、ビルはイインチョウの倍近くある。とても押し退けられる大きさじゃない。それに、下手に下に落とそうものなら周囲への被害も相当な事になるだろう。
 その為、その場から動けずに居たのだ。
【い、いかん……流石に、無理があったか】
 イインチョウの両足が震えているのが見える。支えられる限界の重量を超えていた為だ。徐々に膝が地面に近づき始める。
 下では、そんなイインチョウを見上げながらも、逃げられずに居る少女が居た。何とか彼女を逃がさなければならない。
 しかし、一体どうやって?
【しっかりしやがれ!】
【むっ!】
 声と同時に、ダイバンチョウもまた駆け寄りビルを持ち上げた。だが、ダメージが相当残っているのか普段の力は出せず、良くてこうしてビルを支える程度の事しか出来なかった。
【貴様は―――】
【へっ、マッポの癖に良い根性してるじゃねぇか。気に入ったぜ。俺も手を貸してやるよ】
【変わった奴だな、お前は】
【は?】
 ふと、笑みを浮かべてきたイインチョウにダイバンチョウは疑念を投げつけた。
【私はこんな状況なんだ。逃げる事だって出来ただろうし、後ろから奇襲をする事も出来たんじゃないのか?】
【何言ってやがる! そんなのはチキン野郎のする事だ! 俺は逃げも隠れもしねぇし、後ろから奇襲なんて絶対にやらねぇ! それが俺の喧嘩道だ!】
【喧嘩道……か。相変わらずだな、お前は】
【ん? お前口調変わってないか?】
【な、なんでもない】
 はぐらかして見せたイインチョウ。その時の番には、このイインチョウが誰かに似ているような気がした。だが、確証はない。それに、今はどうやってこの子を逃がすかが最重要だったりする。
【くそっ、おい其処のガキ! さっさと逃げろ! でねぇとぺしゃんこになっちまうぞ!】
【止せ、彼女は怖がって動けないんだ! 無理にそんな事を言ったら返って危ないぞ!】
【じゃぁ、どうしたら良いんだよ?】
 互いを見やり、良い案はないかと模索する両者。そんな時だった。動けない少女の元へ別の誰かが駆け寄ってくるのが見えた。
 シルエットからして女性だった。そして、その女性は番の良く知る人物でもあった。
【なっ、
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