第一話 【新学期】
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電車に揺られて、暗いトンネルを越える。光が差し込み、懐かしい景色が一面に広がる。その景色を見たその時に改めて故郷の地に戻ってきたことを実感する。
「車窓から見た景色と実際に見たら違うんだろうな。それに……あいつは元気にしているかな?」
ガラス越しの景色を見ながらそっと呟く。
?
1月の末にあなたが寿命で亡くなり、叔母ちゃんが俺達、家族と暮らすことになった。そのため、今まであなたと叔母ちゃんが一緒に住んでいた家が空き家になって、お葬式後に家の片づけをしていると、家具や日常品が放置されていることに疑問を感じて、母さんに聞くと、新学期からあんたが一人暮らしするからに決まっているでしょ。と断言された。それから、本人の意思などお構いなしに話しは進んで行き。こっちに来るようになりました。どうか俺が立派に育って行くことを見守ってください。念仏とか唱えられないです。ごめん。
仏前を拝む。死んだお爺ちゃんに経緯を伝える。そして、取り敢えず荷物を部屋に運び、お風呂に入って、布団を退き寝る準備をする。
新しい生活が俺を待っている。その新しい生活の第一歩を飾るのは……高校生活だっ! 高校生活が故郷での新たな生活を充実させる鍵だと思っている。だって、普通では一生に一度しか訪れない、高校生活をエンジョイしてやる。中学の友達の連絡先は知っているし、相談に乗ってくれるとも言ってくれた。それに、『いつでも遊びに来いよ』とも言ってくれた。実に嬉しいことだ。でも、そんなことじゃ駄目だと思う。自分の高校生活ぐらい自分で充実させなければ。確かに友達が出来るかは心配だけど……知り合いがゼロからのスタートではない。少なくともあいつはいる。明日から学校だ。気合い入れて、行こう!
気合いを入れて自分の部屋の電気を消して、布団に潜る。明日からの高校生活に対するワクワク感とちょっとした心配感を募らせながら。
そんな覚悟を決めた矢先のことだった……
☆
眠い……昨日電気を消してから全く寝付けなかった。欠伸をしながら学校までの道を歩く。
「この道に三年間お世話になるのか。四季の変わり目が楽しみだな」
昔と変わったところを探しながら歩いていると学校の校門にまで歩いていた。校門を潜るとそこには一面の桜の木、桜の木に見とれながらも昇降口へ向かう。
昇降口先にクラス分けの発表版に人がいっぱい群がって騒いでいる。多かれ少なかれ友達と一緒になれたり、なれなかったりと。そんなところだろ。
はぁー。知り合いが多いのは良いなぁ。不意に溜め息を吐いてしまう。でも、俺にだって知り合いはいる。それにいないならば作ればいい。昨日に覚悟を決めたばかりだ! ポジティブに考えよう。そうなれば、まずは
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