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最後の大舞台
2部分:第二章
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そんな彼がオールスターに出場した。平和台球場でのオールスターである。
 彼はチームでただ一人の出場選手であった。ダイエーの当時の本拠地である。
「お客さんの為にもやったるか」
 彼はそう決意して試合に挑んだ。だがそのやる気が空回りした。
 ことごとく凡打に終わる。その原因は空回りだけではなかった。
 肩が傷むのだ。守備には就けないほどだった。だが彼は平和台に来てくれたファンの為にライトに入った。
「あの人ホンマは肩が痛くて仕方ないのに」
 パリーグの選手達はそんな彼を見てそう思っていた。だが彼はそれを顔に出すことはなかった。
 最後の打席、ここで彼は四球を選んだ。
 類に出る。ここで勝負に出ることにした。
「よし」
 何と走ったのだ。オールスターは基本的にノーサインである。それで走ったのだ。
 俊足という程でもない。普通といったところだ。だが彼はあえて走ったのだ。
「ダイエーで出とるのはわしだけや」
 彼はそう思いライトスタンドにいる平和台のファン達のことを思った。
「だからそのわしが活躍せんとお客さんに悪い」
 その一念で走ったのだ。
 二塁を陥とした。これでファンから拍手が鳴り響いた。

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