第百五十二話 近江平定その二
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「いや、昼も夜も攻めてきて」
「しかもですか」
「数が多く武器もいいです」
「弓矢も鉄砲も多いですな」
「特に鉄砲が気になりますな」
「はい」
まさにそれだった、朽木はいぶかしむ顔で話す。
「あれだけの数の鉄砲はそうはありませぬぞ」
「確かに多いですな」
長政もここで応える。
「妙なまでに」
「確かに妙です」
朽木はその長政に真顔で返した。
「鉄砲をあそこまで持っているとは」
「しかもそれは本願寺の者ではありませぬな」
ここで森も言う。
「本願寺も鉄砲は多いですが」
「その鉄砲はです」
それはだ、どうなっているかというと。
「殆どを石山御坊に置いています」
「本願寺の総本山にですな」
「そして雑賀衆が持っています」
実質本願寺お抱えの忍軍である彼等がだというのだ。
「しかしそれでも」
「この近江には」
「とても」
朽木と森が長政に応えて言う。
「ありませぬな」
「あそこまでの数は」
「優に数百はあります」
長政はその数についても述べた。
「それだけになりますと」
「それだけの鉄砲をそう持てますか」
朽木はいぶかしむ顔で述べた。
「果たして百姓や国人が」
「無理でありましょう、ましてや」
ここで長政、今は信長より近江の北半分を預けられている彼はこの国のことをよく知っている。それで言うのだ。
「我等も結構な数の鉄砲を前にしました」
「ここに来られるまでに」
「そうされましたな」
「そうです、そこまでの鉄砲は近江にはとてもありませぬ」
百姓や国人が持っている筈がないというのだ。
「とても」
「しかしです」
その彼に森が問う。
「間違いなく鉄砲はそれだけあります」
「数百もですな」
「それだけ多くの数が」
「ありませぬ」
普通に考えればだ、彼等はいぶかしみながら話す。
しかもだ、まだあった。
「国人は殆ど全ての者が織田家についておりますぞ」
「ですな、この近江でも」
「そうなっていますな」
「最悪中立です」
国人達、彼等はというのだ。
「そうなっている筈ですから」
「あそこまでの数もですな」
「いる筈もありませぬな」
「そうです、有り得ませぬ」
このこともだというのだ。
「とても」
「ではあの者達は一体」
「あの数も」
「妙なことだらけですな」
「どうにも」
「はい、しかも門徒達も多いですが」
さらに言う長政だった、このことも。
「混ざっている者達が多いのも」
「あの闇の様な服の者達は一体」
朽木が二人に問う。
「何でしょうか」
「あの者達が鉄砲を持っていますな」
それに他のいい武器もだ、森も言う。
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