暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第八十話 残る四人その十一

[8]前話 [2]次話
 怪物を上から一閃した、それで全ては終わった。
 怪物は真っ二つになり地に落ちて金塊に変わった。上城はその金塊達の下に降りて樹里にこう言った。
「空を飛べるとね」
「全く違うわね」
「うん、このことは大きいよ」
「空を飛ぶ怪物にもこれからは」
「戦えるよ」
 無事にだというのだ。
「今みたいにね」
「空を飛べる怪物が手強い理由は」
「相手は空を飛べるけれどね」
 だがこちらは飛べない、それでなのだ。
「こっちはだから」
「そうよね、そのせいでよね」
「空を飛ぶ怪物は厄介なんだ」
「けれどこちらも飛べたら」
「どうということはないよ」
 同じ土俵に上がればだ、それでだというのだ。
「そういうことだからね」
「これからはよね」
「うん、無事に戦えてね」
「勝てるわね」
「これまで以上にね」
 そう出来るというのだ。
「それが出来るよ」
「そうよね」
「これでまた僕は経験を積めたよ」
 剣士としてのそれがだというのだ。
「そして強くなった力で」
「戦いを止めるのね」
「終わらせるよ」
 止めるだけでなくだ、そうするというのだ。
「絶対にね」
「そうなのね」
「そう、そうするよ」
 樹里に対して微笑んで述べる、そのうえで金塊を手にしてだった。
 彼は去ろうとした、樹里もその彼と共に。
 しかしだ、その前に。
 上城の前に加藤が出て来た、そしてだった。
 その彼がだ、上城にこう言って来たのだ。
「丁度いいな、剣は抜いたままか」
「加藤さんですか」
「暫く振りだな」
「そうですね、貴方がここに来られた理由は」
「戦いの臭いを嗅ぎ付けたからな」
 だからここに来たというのだ。
「今こうしてな」
「じゃあ僕の今の闘いのことに気付いて」
「戦いには匂いがある」
 そしてその匂いはどういったものかとだ、加藤は語った。
「火薬の匂いにも似たいい匂いだ」
「それでここに来られてですか」
「俺はここに来た」
 そしてだとだ、こう話してだった。
 加藤もまた剣を出した、そして言うのだった。
「はじめるか」
「今からですか」
「逃げたければ逃げればいい」
 加藤は己の剣を構えた、そのうえでまだ剣を手にしている上城に対して告げる。
「俺は逃げる相手と闘うことはない」
「そうですか」
「そうだ、それでどうする」
 あらためてだ、加藤は上城に問うた。
「貴様は」
「僕は戦いを止める為に戦っています」
 上城は加藤を見返した、そのうえで彼に返した。
「ですから」
「俺と戦ってそうしてか」
「貴方も止めます」
「生憎だが俺は他の奴とは違う」
 他の剣士、特に戦いを降りた者達とはというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ