第八十話 残る四人その六
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「韓国だけは」
「なかったんだ」
今の今まで、というのだ。
「それで今もね」
「あるにはあってもですね」
「小さいんだよね、これが」
王は苦笑いを浮かべてスペンサーに話した。
「この神戸の中華街と比べても」
「そうなのですか」
「長崎のよりもね」
まだ小さいというのだ。
「それも遥かにね」
「ううむ、それでは」
「私はあの国では無理だね」
店を開いてもそれを続けられないというのだ。
「私の料理も彼等の舌には合わないだろうし」
「韓国人の舌といえば」
「辛口だよ」
しかもかなり強烈な、だ。
「四川料理どころじゃないからね」
「火鍋が凄いそうですね」
「あれはまた別格だよ」
四川料理の中でもだというのだ。
「特別だからね、けれどね」
「韓国料理はですか」
「凄い辛さでしかも熱いから」
「大蒜と唐辛子で味付けをしたものを煮るか焼くかですね」
「そうした料理ばかり食べている人達にはね」
基本は広東料理である王にとっては、というのだ。
「合わないだろうね」
「そういえばこの料理も」
「大尉に合わせた味にしているよ」
アメリカ人である彼にだというのだ。
「どちらかというと中国の味にしているんだ」
「貴方のお国の味にですか」
「日本人は薄味が好きなんだよ」
それは濃い味が好きだとされている関西でもだ、日本人は全体的に他の国々に比べて薄味が好きなのである。
「だからそのお料理はそうしているから」
「成程、そうですか」
「うん、それでね」
「貴方も富を手に入れられて」
「後はそのお金で」
百億、その金でだというのだ。
「家を建てて車を買ってね」
「そして何よりもですね」
「お店をね」
それをだというのだった。
「手に入れるよ」
「そうされますね」
「楽しみだよ」
実際に喜色を顔に出させてだ、王はスペンサーに話した。
「何よりも誰も傷つけずに済んだよ」
「確かに。それはいいことですね」
「大尉もそう思うね」
「はい、私もほっとしていますので」
戦わずに済んだ、任務は中断という形になったことは実は心残りではあるがそれでも誰も倒さずに済んだことが 何よりだというのだ。
それでだ、こうも言う彼だった。
「嬉しく思っています」
「普通は誰も手にかけたくないからね」
「戦争は任務ですが」
だからこの場合は当然となる、しかしそれでも軍人以外の者はというのがスペンサーの基本的な考えなのだ。
だからだ、また言うのだった。
「出来るだけそうしたことがないに限ります」
「私達はそう考えているね」
「はい、ですが」
「そうなんだよね」
チャーシュー麺の麺を食べるスペンサーにだ、王は腕を組んでやれやれといった顔でこんな言葉で応えた。
「
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