第八章
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高々と胴上げした。これが彼の最後の晴れ舞台だった。
「よおやった」
それを見ていた野村の言葉だ。
「今まで野球の為にな。よおやったわ」
「そうですね、本当に」
「新庄選手は今まで本当に」
「これも野球選手や」
野村はまた言った。
「最後の最後までな。新庄は新庄やったわ」
「はい・・・・・・」
見れば野村の目も暖かかった。その暖かい目こそが彼の新庄への言葉だった。何もかもが終わった。彼は最高の花道を飾ったのだった。
ところが。彼はまたやったのだった。
「何や、あれは」
「ええと、あれは」
「何なんでしょうね」
「あれでヨン様のつもりなんか」
日本ハムの優勝パレードでのことだった。何故かそこに韓流スターがそこにいたのだ。
「一発でわかったぞ」
「何なんでしょうね」
「まああの人ですからね」
「引退してもアホはなおらんな」
野村はその彼を見てこう言った。
「つける薬があらへんわ」
「はあ」
「そうかも知れませんね」
「まあええわ」
しかしまた言うのだった。
「あいつはそれでな」
「最後まで新庄さんらしいからですか」
「御前と一緒や」
丁度いいタイミングで隣に来た一茂に対しても言う。
「アホはなおらんわ」
「馬鹿でもいいんですよ」
「わしはアホやと言うたんやがな」
「まあ大した違いはないじゃないですか」
そんなことにこだわる彼ではなかった。彼もまた新庄を見ている。
「そう思うんやったらええわ」
「とにかく。最後の最後まで新庄ですよね」
「それでええんや」
野村はそれを見て頷くのだった。彼はそのスターの格好で満面の笑顔でパレードに参加していた。新庄はあくまで新庄であった。
宇宙人 完
2008・11・7
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