第八十話 残る四人その二
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「こうしてもですね」
「普通の怪物ならこれで終わりですが」
「それがですね」
「そうです、三つの身体を全て同時に倒さなければ」
やはりだ、ゲーリュオンは倒せないというのだ。
「どうしても」
「難しいですね、しかし」
「しかしですか」
「この世に決して倒せない存在はありません」
「だからですね」
「この怪物は倒せます」
スペンサーは迫ってきてそのうえで再び三本の槍を繰り出してきた怪物を見ていた、当然槍はかわしている。
しかし今度は前には出ていない、右に左の蝶が舞う様にかわしている。
そしてだ、こう言うのだった。
「必ず」
『ではどうするのですか?』
今度は声がだ、彼に言ってきた。
『貴方は』
「戦いは力と技だけで行うに非ず」
こうも言うのだった。
「智恵もあります」
『智恵ですか』
「そうです、それを使い」
そしてだというのだ。
「この怪物に勝ちましょう」
『そしてそのうえで、ですか』
「この戦いから降ります」
事実上だ、最後のそれにしてみせるというのだ。
「必ず」
『見せてもらいましょう』
声はスペンサーの確かな声を聞いてだ、こう返したのだった。
『貴方がこの怪物をどうして倒すのかを』
「私の力を使えば」
それをだとだ、こう言ってだった。
彼はまずは怪物の槍、突いてきた三本のそれを上に跳んでかわした、そして。
怪物の三体の身体のつながっている部分、上から見れば三つの合わさった頭の間にあるその身体にだった。
剣を振り下ろした、すると。
重力が上から下に雷の様に落ちた、そしてその重力彼のこれまで放った力で最大のものが身体に上から覆い被さってだった。
巨人の身体がぐしゃりと嫌な音を立てて潰れた、そしてそれによって。
怪物の三つの上半身と下半身も消えていった、まるで主をなくした分身の様に消え去った。後には近海の山があるだけだった。
スペンサーは着地してその金塊の山の前に立った、そのうえで言うのだった。
「この金塊は」
「どうされますか?」
「これまでと同じです」
そうだとだ、聡美に答える。
「合衆国の財産になります」
「軍人である貴方が倒したからですね」
「私の報酬は既にあります」
軍人として通常の給与にボーナス、そういったものがだというのだ。
「ですから不要です」
「そうですか」
「はい、そしてです」
そのうえでだというのだ。
「この戦いから降ります」
「そうされますか、今から」
「剣を足元に置いてですね」
「はい」
聡美はスペンサーに剣士の戦いからの降り方も話した。
「そうして降りると宣言されれば」
「そうですね、それでは」
「はい、今から」
スペンサーは聡美の言葉に従う形で自身の剣を己の横に置いた
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