神都編
第二十五話 力を求めて
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アーシェは躊躇いながらラスラとの結婚指輪を外し、バルフレアに渡した。
バルフレアは軽く指輪を見てアーシェに言う。
「そのうち返すさ。もっといいお宝を見つけたらな」
「なんだよもっといい宝ってさ?」
バルフレアは出口に向かいながら話す。
「さあな。見つけた時にわかるのかもな。ヴァン、お前なら何が欲しい?何を探している?」
「オレ?そりゃあさ、その・・・ほら、あれ。・・・オレは・・・」
そんな事を言っているうちに倉庫の中にはセアとヴァンだけになった。
セアは・・・こちらの世界で言う考える人の彫刻のような体勢で固まっていた。
そんなセアに気づきヴァンが声をかける。
「セア」
名前を呼ばれたにも関わらずセアは微動だにしない。
ヴァンは大きく息を吸い込んでもう一度呼んだ。
「セア!!!」
「・・・ん?どうした馬鹿弟子」
セアはヴァンにいつもの明るい口調で話しかけたがヴァンが心配気味な声で言う。
「セア、どこか悪いのか? 倉庫に集まった時からずっと黙ってたけど」
「・・・いや、ただ考え事をしていただけだ」
セアはこの倉庫で交わされた会話が気にならないほど考え込んでいた。
それはアルケイディアの・・・いや、シドの目的である。
覇王の遺産を集めるのはわかる。
あんなものが他国にあるなら心配で夜も眠れない。
だが何故人造破魔石を造る必要がある?
破魔石がひとつあればロザリア帝国に圧勝する事も可能だろう。
なにせあんな小さな石ひとつで艦隊や都市を跡形も無く消し去る力があるのだから。
だから破魔石はひとつでよく、他国に渡ることを防ぐために残りの2つは破壊してもいいくらいだ。
なのにそれの製造を試みているとはどういうことだ?
そこで思い出すのがリヴァイアサンでギースが言っていた台詞だ。
ドクター・シドが血眼になって破魔石を調べているということ。
そして王宮でのシドとの会話を思い出す。
ロザリアなど前座にすぎないと彼は言っていた。
ということはアルケイディアはロザリアなど目ではない脅威があるとでもいうのか?
とりあえず・・・
(面倒だが知りたければ王女についていくのが一番か)
セアはそう思いアーシェに同行することを決めた。
セアが国家の思惑に関心を持ったことなど何百年ぶりであろうか・・・
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