第四章
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かんやろ」
だがそれでも新庄の入団は決まった。背番号は本当に一だった。注目度は巨人の監督に同時期に就任した堀内よりも遥かに上であった。
「え〜〜〜、まあ青天の霹靂でありまして」
堀内だけが下品な笑みを浮かべてにやけているその記者会見は実に寒々としたものであった。この二年後堀内は無様な成績と采配の記憶を残し巨人を追い出されることになるのでその末路には相応しい就任記者会見であったと言うべきであろうか。しかし新庄は違った。
「どうしてまた北海道に?」
「網走刑務所に行きたかったからです」
いつもの新庄節であった。
「だからちょっとフェラーリで行って来ます」
「札幌から網走までどれだけある思うとるんじゃあいつは」
野村はここでまた言った。
「北海道は広いんやぞ。日本に戻ってもアホは変わらんな」
シダックスの赤いユニフォームに身を包んでの言葉であった。
「これからはパリーグですよ」
「ほう」
この言葉には顔を向ける野村であった。
「ええこと言うな」
「だから日本ハム行きますよ。期待しておいて下さい」
「期待はせんわ」
一応はこう言う野村だった。
「またアホなことするに決まってるやろからな」
こうは言っても新庄を見て笑みを浮かべている野村だった。そうしてペナントがはじまって暫くはその勝負強さと守備を見せるだけだった。ところがであった。
「オールスター、やりますから」
また新庄は言った。
「予告ホームランやりますよ」
「また言うたわ、こいつ」
「相変わらずやな」
それを聞いたファン達の言葉である。
「全く」
「今度はそれかい」
彼等の呆れたような言葉も変わらない。
「何をするんや」
「まあ見ておくかい」
そんなことを言っているうちにオールスターになった。そして新庄がその問題の打席に入る。打席に入るとまずは予告通りだった。
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