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錬金の勇者
7『シルバーフラグス』
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》を、突然十人近くのオレンジプレイヤーが襲ったのだ。結果、ギルドはリーダーを残して壊滅してしまった。

 《オレンジプレイヤー》と言うのは、このSAOで犯罪者を表す言葉だ。プレイヤーは全員頭上にカラー・カーソルがあるが、窃盗や傷害と言った犯罪を犯すと、このカーソルがグリーンからオレンジに色を変えるのだ。オレンジカーソルのプレイヤーだから、オレンジプレイヤー。

「ゲームでの死が本物の死になる世界……そんな世界で人殺しをする奴らは、きっと腐ってるんだと思う」

 ヘルメスの脳裏には、大嫌いな父と曾祖父の顔が浮かんでいた。あいつらの根性は腐っていた。だからきっと、あいつらと似たような存在である犯罪者プレイヤー達は腐っているに違いない。

 ……もっとも、その腐った一族の血を継いだ自分も腐っているのだろうが。

 ――――だから腐りきらないようにするんだ。そう言った義兄の顔が思い出される。

「なぁ、錬金術の。お前はどうするんだ」
「……俺は詐欺師だよ。どうするかなんて聞いて、その答えを信じたら終わりさ」
「なるほどね」

 イゾルトは苦笑すると、じゃぁな、と言って転移門から別の階層へと移動していった。

「……さて」

 ヘルメスはSFsリーダーの方を向いた。イゾルトにはああ言ったものの、ヘルメスはSFsリーダーを助けるつもりでいた。そのために昨日一日を掛けて、消費していたアイテムなどを買い込んだのだから。

「お願いだ、頼む、仲間たちの敵を討ってくれ……」
「なぁ、あんた」

 ヘルメスが声を掛けると、SFsリーダーは弾かれたように顔を上げて、まるでNPCの様に同じ言葉を繰り返した。

「……大まかなことは聞いている。詳しい情報を教えてくれないか?」
「わかった……ありがとう」

 SFsリーダーはヘルメスに、犯罪者プレイヤーの親玉であるとみられるその「仮入団」しに来たプレイヤーの情報をいくつか教えたのち、ストレージから一個の群青色のクリスタルを取り出した。

「……回廊結晶か?」
「ああ。頼む。これであいつらを監獄送りにしてくれ……」

 ヘルメスはほっと息をついた。殺してほしいという依頼だったら、受けるかどうか迷うところだった。いや、「腐りきらない」ために依頼受諾を断ったかもしれない。

「わかった。俺はヘルメス。お前は?」
「フラッド。ありがとうヘルメス。頼んだよ」

 そう言って、ヘルメスはSFsリーダー・フラッドから依頼を引き受けたのであった。フラッドは何度もありがとう、ありがとうと呟いていた。


  ***


 それからの一週間近く、ヘルメスはひたすら《シルバーフラグス》を襲った犯罪者集団について調べ続けた。それによって分かったのは、彼らが《タイタンズハ
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