闇の死者
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の笑顔で左霧は言い切った。
「まぁ僕に任せて! 学生は間違っても大丈夫! 大人がちゃんと責任を取るから!」
「……クス……はい!」
雪子と左霧は走りながら教会の敷地内から出ることに成功した。建物がいつ崩れるかわからないほどのダメージを受けたのだ。そろそろ警察や消防が駆けつけて来るはず。雪子は内心関わりたくなかったが、自分がしたことから逃げるわけにはいかない。――他の人に信じてもらえるかは分からないが。
「……おかしい」
「? 何がですか?」
「随分時間が経っているはずなのに誰も来ない。警備員さんがすぐ駆けつけてくるはずなのに。それに……」
まるで気配という気配を感じない。木々が揺れると音、風の感覚すらも――――。
しまった! 左霧は足を止めた。そのあとに雪子も不思議な様子で左霧の横に止まった。
「先生?」
「雪子さん……申し訳ないけどもう少し恐いことになるかもしれない」
「え、ど、どういうことですか?」
「こぉ〜いうことだよ〜!」
「ひっ!?」
雪子の後ろから覗き込んだのは、あの悪魔だった。そんな馬鹿な! 先ほどあの不思議な力でやられたはずではなかったのか? 再び雪子の頭は混乱状態に陥り、絶望の色に塗り固められた。
「……低級悪魔と言えど、流石に上手くはいかない、か……」
かばうように左霧は雪子の前に足を出す。その言葉に悪魔は不快そうにしながらも、あの凶悪の大鎌を下げたまま、こちらの様子をうかがっているようだった。
「ん〜……そっちの小娘はいいとして。お前、お前だよ。ムカつくな〜俺様は低級悪魔なんかじゃねぇ」
「……悪魔は人型になるにつれ上級悪魔へと成長していくと聞いているが?」
すると悪魔は途端に煙を上げ出した。雪子を庇い呪文を唱えようとしたが、次の瞬間、一人の男が姿を現したのだ。その男は顎を上げながら左霧の方を睨みつけた。これで満足か? そんな具合に悪魔は人間に変身したのだ。
「……この姿は嫌いなんだよ。なぜ、俺たちは成長するにつれて劣等種の姿になるのか……。だがこれでわかっただろう? 抵抗しても無駄だということがな」
燃えるような赤髪に二本の大きな角がある。こちらがおそらく本当の姿なのだろう。腕を組み、先ほどのとは態度が違うような気がした。下卑な笑みも、闘気も見せない。だがなぜだろう、その姿には容赦しないとばかりに危険な空気が漂っているのは。
「例え、そうだとしても彼女に指一本触れさせるわけにはいかない」
あくまでも事務的にそう左霧は答えた。上級悪魔――――その力は数千の低級悪魔たちが束になっても勝つことは出来ない。悪魔界を統括する幹部候補なのだとか。以前どこかで聞いたことがあった。
その言葉に、何か満足したのか上級悪魔は手を広げ、道化
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