暁 〜小説投稿サイト〜
あかりの碁
プロローグ
あかりvs水橋紫三段
プロと小学生が互角?マジかよ

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「いいわ、叩き潰してあげる」

対局を観戦していたら、聞き覚えはあるけど聞きなれない宣戦布告の声が聞こえた。
よく見てみると水橋プロが小さい子、多分小学生だろう……と対面している。
さっきの声多分水橋プロの方の声だろう。
プロが小学生に叩き潰す宣言とか、実に大人げない。

やれやれと思いながら視点を戻す。




しばらくして見学していた対局が終わったので水橋プロの方を見てみると、
水橋プロの方が苦しそうな顔をしていた。

ちらっと見てみたが、形勢は互角。
これで表情が苦しいということは、おそらく叩き潰すと言っておきながら現状凌がれているんだろう。

……ん?互角?プロと?

「おい、これ……」

周りに集まってきた皆でよく見てみる。

どういう風に打ったか、一目見ただけではわからない。

「星や天元に黒がない。もしかして、互先か?」

「指導碁だよな?プロに打ってもらえるって羨ましいな」

「いや、水橋プロさっき叩き潰すって言ってたぞ」


この対局は一体どういうものなんだ?
気が付くと周りが皆このプロと小学生の対局を観戦していた。

場面は中盤。
女の子の方が途中でやってしまったミスを水橋プロが突いて逆転したところ。
だが女の子の方もきっちり受けて他で取り返しており、
これは最後までわからないな。

対局はそのまま進み、途中で女の子の方が投了して終わった。
その時の盤面は互角にしか見えなかったが、この状況で投了したということは
終局まで読みきったのだろう。
そうでなければ、このタイミングで投了なんてできない。

プロと互角に戦い、そして中盤に見える場所で投了できる小学生。只者ではない。
プロ試験に出るんだろうか。だとしたら厄介だな……
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