第一章
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「税金どないすんねん」
チームメイトが言うのはこのことだった。
「税金。どないするんや?」
「あっ、そういえばそうか」
言われてやっと気付く新庄だった。
「そういえばそれがあったんだ」
「あったんやて御前」
「何考えてるねん」
呆れ果てた話だった。とかく一事が万事こんな調子である。そして野村が監督になった時にこうしたことがクライマックスに達したのである。
「何であんなアホなんや」
野村は容赦なかった。
「野球は頭でするもんやぞ」
「僕だってそう思っていますよ」
新庄もこう返す。
「監督、やっぱり頭ですよね。野球は」
「じゃあ御前はいつも何しとるんや」
ジロリと新庄を見てから問う。
「言うてみい」
「考えてます、毎日」
明るい顔でこう答える。
「いつもどんな格好いいプレーするかお立ち台で何を言うか。ちゃんと考えてますよ」
「勝手にしとけ」
そしてそれを聞いてからこう返す野村である。おまえにそんな野村のところにあの長嶋一茂が来て親しげにインタビューをするのである。
「監督、どうですか調子は」
「何や、また御前か」
嫌そうな顔を作って一茂に答える。
「しゃあないのう。わしの顔見て飯が食えるんかい」
「ええ」
そして一茂も平気な顔で答えるのだった。
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