安部清明
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魂も持つはずのないごくごく普通の人間である暗が、どうしてそんな事が出来るのか、ということだ。
そう言われると暗はニヤリと口端を吊り上げ、
「・・・・・!」
次の瞬間、父から感じるどす黒い魂が暗の普通の人間の魂から放出した。
否、このどす黒い魂を隠すために、暗の魂を使っていただけだった。
つまり、今まで暗だと思っていた人間は、やはり十数年前から・・・・別の人間だった。
本物の暗の魂は、今までずっとカモフラージュに使われていただけだった。
「あなたは誰なのよ!」
思い切りそのどす黒い魂の中心にいる暗に向かって叫ぶ。
そのどす黒い魂は既に明の足元まで来ていた。
暗は・・・暗の形をした化け物は、その魂で明を捕らえようとしながら告げる。
「俺か?・・・・安部清明だ」
明が驚愕に目を見開いた瞬間、どす黒い魂が遂に明の視界を埋め尽くした。
「・・・・・はぁはぁはぁはぁ」
「思い出してくれたかな?ボクのこと?」
部屋に入ってきたのは、父と暗・・・・・安部清明だった。
父は先ほどのように虚ろで別の魂に侵食されきっている。
暗は、いつもの暗に戻っていた。
「・・・・平安時代に死んだはずじゃ・・・・・」
明がやっぱり驚きながら呟くと、すかさずそれを清明が拾う。
「確かに肉体は死んだかもしれない。
でもボクほどの霊能力者になると、こんなことも出来るようになるのさ」
そういって、清明は、少し何かを呟くと、
「・・・・!」
清明の魂・・・つまりあのどす黒い塊のようなものが、人を形作って肉体から抜け出した。
その魂は空中で除々に形を変えていき、そして安部清明になった。
着物姿に、烏帽子、袴の古風な美青年といったところだろうか。
もし、それらをこのどす黒い魂が形作っていなければだが。
「いわゆる幽体離脱って奴かな。
稀に寝ている間だけ、とか無意識に出来る人はたくさんいるらしいけど、ボクのは違う。
ボクのは自分の魂の全て・・・・と言ってもこれは一部だけどね。
それらを全て肉体から離し、永遠に現世に留まることが出来る。
つまり、肉体は朽ち果てていてもボクは魂そのものは不死身なんだよ」
「・・・・・人の魂が・・・そんな醜悪な色を放っているわけがない・・・」
明はやっとのことでその言葉を搾り出した。
すると少し清明は顔をしかめてそれを返す。
「別にボクも好きでこうなった訳じゃない。
知っているだろう?魂は感情の余波を肉体がない分受けやすいんだよ。
様々な人間の感情を蓄積してきたボクはいつの間にかこんな魂になったのさ。
人の感情が清ければ
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