安部清明
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・・
「お父様?明です。入りますよ!」
ドアをノックして返事がないが、それはいつもの事だったので何の警戒もせずに入った。
何より明は怒っていた。いくら父とは言え、あんな暴言を吐くなんて言語道断だ。
しかも明の予想が正しければ、集会場の人たちは・・・・・
「やあ、よくきたね」
「・・・・私は今、お父様に用があります」
部屋には背を向けた父と、微笑む暗の姿があった。
暗を振りほどき、父に話しかけようとする。
「お父様。アレは一体どういうことですかッ!答えてください!」
怒鳴りつけるがまるで振り向かない。
「お父様!」
いよいよ背中を向けている父の正面に回り込んだところで・・・・
「・・・・・あッ」
明は数歩、後ろによろめいてしまった。
くすくすくす、と暗が笑う声が聞こえる。
「何をしたの・・・・」
「ん?」
「何をしたの父に!」
「・・・・何って・・・それ、元からだよ?」
頭を金槌でガーンと殴られた様な気分だった。
父は、あんなにいつも厳しい父が、まるで魂が抜けたような虚ろな目で、そこに力なく立っていた。
そして実際、父の魂は、ほんの少ししか残っていなかった。
否、父の魂は、何かどす黒いオーラを放つ『別の魂』に侵食されていた。
「ふふふ・・・・君が今まで見ていた『神条総帥』は、ボクが操っていただけだ。
ボクが操らなきゃ総帥は、いつもこんな風に、自分の意識では動くことは出来ない。
そう、君の母が死んだ日からずっとこうさ」
「・・・・・・何を・・・・言っているの・・・」
明は更に数歩後ずさるが、背に壁の感触・・・・もう下がれない。
明は一つ誤解していたことを知る。
集会場の、明たち以外の人間は、皆、微かだが、別の人間の魂の感じがした。
その別の人間の魂は、父親のだった・・・・風に見えた。
実際は、違ったのだ。集会場の人間全員は、父を媒介として操られていた。
父に入っているこのどす黒い魂を、父は撒くだけだったのだ。
だから『父の魂』だと皆に入っている魂を誤解したが・・・・
張本人は暗だと、今目の前で言われている。
つまり暗は、霊能力者も多々いる集会場の人間を全員操り、しかも微かにしか感じさせないほど微量な魂を、他人に入れる、という
恐ろしい技を持っている。
魂の質も量も桁違いで、しかも十数年前からずっと父をその技で縛り付けてきた。
自分の魂を他人の魂に入れて、操る。理論上は出来るが、本当に行っている人間が今目の前にいる。
いや、それよりも・・・
「貴方・・・・誰なの・・・」
そんな霊能力も
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