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路地裏の魔法少年
プロローグその4:知らない所で世界は回るんじゃね?
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……。

 「やべぇな、マジで」
 そう言って啓太は顔を引き攣らせていた。
 そうだろうとも、俺達は兄貴に近い人間だから分かる。


 これは何か途轍もない出来事へのプロローグに過ぎないと……。


 「今回ばかりはかなりヤバいな、剣さんが関わってるってだけでもアレなのに、今度は魔法と来たもんだ……こりゃもうダメかも分からんね」
 「俺達生きてられっかなぁ……」
 兎に角まず俺達は自分達の身の安全を第一に考えた。

 兄貴はヤバい。
 どれくらいヤバいかと言うと、大学ノート一冊では足らんくらいのレヴェルになるので割愛するが、とにかく他人を巻き込んでトラブルを引き起こす能力に特化された人間である。
 そのトラブルも、小さいものは犬のウ○コを踏んじまった程度のものから、大きい物は危うく刑事訴訟クラスのものまで多岐に分かれており、兄貴と行動を共にした大学院生や教授さん達からは『歩く災厄』とか『人間オーパーツ』とか『バグったスプリガン』とか不名誉な二つ名を欲しいままにしている文字通り究極のトラブルメーカーであるのだ。
 更にタチが悪いのは本人にその自覚が一切無い所で、本人はあくまで「目的のために行った過程において発生した極めて小規模なトラブル」程度でしか思っていない。
 まさに唯我独尊、学者バカここに極まれり……。
 俺にこの人物と同じDNAが組み込まれていると思うと悲しくなってくる。

 「これ高町さんとかにも言ったが良いんじゃね?」
 「兄貴警報?ナノっちに?まだ出してないの?」
 何だその兄貴警報って?人の兄貴を災害か何かと一緒にすんじゃねぇよ、ヒューマノイドタイフーンかっての、大体合ってるけど。


 「そういやナノっちで思い出したが、あの子が『ブルーシード』とか言う石を集めてるんだろ?」

 そう言って啓太は兄貴の話題から話を高町さんの話題へと切り替えた。
 つーか、初っ端から石の名前間違ってね?

 「『ジュエルシード』な、ユーノを不憫に感じたのか何なのかは知らんがそうらしいよ」
 「へぇ…大変だぁね、何処に転がってるか分からないんだろ?『ジャミルニート』」
 随分マニアックな間違い方だな…「月は出ているか」とか言った人だろそれ?

 「『ジュ・エ・ル・シー・ド』だっつの、全部で21個だそうだぜ、この街近辺に…多いよな」
 「だな……それでお前はナノっちのやってる『ガンダムシード』探しを手伝えないものかなぁと、そういう訳か?」
 「おまえわざとやってんだろ!……まぁ、その方がいいのかなぁと思ってサ…」
 少し歯切れが悪い様な感じで俺は答えた。

 実際俺は少し悩んでる。
 ユーノの話が本当だとすると『ジュエルシード』が散らばった原因はユーノじゃなく船を事故らせた方だろうし、
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