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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
06.戦王の使者
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エ・ヴァトラーの居場所を知ったのだろう。
「アッパーデッキ……どうやって行けばいいんだ?」
「こっちです」
広間の隅の階段を指さした雪菜が、招待客で混み合う通路を歩き出す。
慌てて追いかけようとする古城。それについていく彩斗。
すると殺気を感じ取った彩斗は、古城の前へと強引に割り込み、古城に振り下ろされる銀色の光を掴み取る。
掴んだのは、鋭く研ぎ澄まされたフォーク。フォークを握っていたのは若い女性。身長は百七十センチ近くありそうだが、十代ほどの少女である。長い栗色の髪に、白い肌。人目を惹きつける優美な顔立ち。すらりとした細い身体に、チャイナドレス風の衣装。
「失礼。つい、手が滑ったわ」
「気をつけろ。手を滑らすなら殺気ぐらい消せよな」
握ったフォークから手を離すと長い髪の少女は、彩斗を睨む。
「アドバイスどうもありがとう。でも、下劣な性欲を剥き出した手が雪菜に触れようとするからよ、暁古城」
「なに……!?」
少女は古城を知っているらしい。
「誰だ、おまえ?」
困惑する古城が訊く。
「──紗矢華さん!?」
睨み合う古城たちの間に割って入ってきた雪菜が唖然としたように長い髪の少女の名だと思われる名を呼ぶ。
「雪菜!」
長い髪の少女は勢いよく雪菜に抱きついた。
なんでもこの長い髪の少女は、雪菜の高神の杜にいた時の元ルームメイト、煌坂紗矢華。獅子王機関の舞威媛。
舞威媛……呪詛と暗殺を真髄とするらしい。
そして紗矢華がここにいる理由は、アルデアル公が絃神市の住民に危険にさらさないように監視する任務でここにいるらしい。
そして、この船の案内も頼まれているようだ。
「だったらさっさと案内しろよ」
「言われなくても連れて行ってあげるわよ。だからさっさと死んできてちょうだい」
「死ぬかっ!」
苛々と怒鳴り返しながら、古城は紗矢華のあとをついて階段を上る。その後ろに雪菜、彩斗という順番だ。
「お前の元ルームメイトいつもあんなんなのか?」
「ええ、まあ。少し事情がありまして……」
雪菜は、困ったような表情を浮かべる。
それはともあれ問題は彼女ではない。徐々に近づく強力な力。それは、初めて古城の眷獣を自らの眷獣で無効にした時のあの感覚に近いものを感じる。
彩斗の中に流れる”あの血”が昂ぶる。
第一真祖直系の子孫たる純血の吸血鬼。その戦闘力など不完全な第四真祖がまともに戦って勝てるような相手ではない。
船の上甲板に出る。
漆黒の海と夜空を背景にして、広大なデッキの隅に立っている一人の男。
純白のコートをまとった美少年。長身。金髪を揺らしながら振り返った青年が蒼い瞳で
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