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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
06.戦王の使者
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城もようやく気付いた。

「姫柊に頼んでもいいのか? そんなことをして獅子王機関で問題になったりしないのか?」

「この場合、先輩から目を離すことのほうが問題になると思いますから」

 古城のパートナーが決まったところでもうひとつ問題が発生した。
 雪菜も古城もパーティーに着ていく服を持ち合わせていない。

「なんだ、この荷物?」

 郵便受けに入っていた伝票に気づいて、足を止める。宅配用ロッカーに、荷物が届いている。
 入っていたのは、平たい長方形の段ボール。
 だが、三人はそこに記されていた差出人の名前を見て、愕然となる。

「獅子王機関?」

「そんな……どうして先輩宛に?」

 獅子王機関からの届け物に、絶句する。
 その段ボールの蓋に恐る恐る手をかけ、慎重な手つきで包装を剥がし、開封する古城。
 箱の中には、光沢のある薄い布地が、丁寧に折り畳まれていた。あからさまに高級そうな生地。咄嗟になにか呪術でもかかっているのかと身構えるが、雪菜は黙って首を傾げる。
 箱の隅に荷物の明細書を見つけて、古城はそれを拾い上げる。
 その間に雪菜が、そっと布の端をつまみ持ち上げる。ふわりと広がったのはボリュームのあるフリルのスカート。一緒に折り畳まれた付属品が、落ちる。カップ付きのアンダードレスにシルクの下着。

「なんだこれ……オーダーメイドのパーティードレス一式? 身長百五十六センチ、B七六・W五五・H七八、C六〇……姫柊雪菜様、代金領収済み…………え?」

「は? え? あ……!?」

 明細書に記された数字を読み上げた古城は、ふと顔を上げる。
 赤面する雪菜。
 気まずい沈黙が訪れる。この居心地の悪い空間を古城が打ち破った。

「えーと……Cか。意外にあるんだな。うん、見直した」

 最低な言葉で……

「記憶をなくす前に言い残すことは、それだけですか、先輩がた(・・)

 そうか、やっぱり俺も含まれてるんだ、と半分呆れたように呟く彩斗。


 ──その後、起きた出来事は言うまでもない。




 アルデアル公ディミトリエ・ヴァトラーのクルーズ船は、港湾地区(アイランド・イースト)に停泊している。
 パーティーの開始時刻は午後十時。大勢の招待客たちが、船内へと乗り込んで行く。

「……洋上の墓場(オシアナス・グレイヴ)……か。趣味が悪い名前だな」

 船体に刻まれた文字に、古城は呆れたように呟いた。

「戦王領域がそれだけの権力を誇示するのが、目的なんだと思います」

 雪菜が冷静な口調で解説。
 古城は雪菜を見ながら解説を聞こうとするが、雪菜が古城に銀の槍の穂先を向ける。

「すみません。身の危険を感じて、思わず」

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