暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
06.戦王の使者
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いで手紙を渡しにきて、彩斗が鉢合わせたみたいな絵面になってしまっている。
 彩斗はとっさに古城の手に持っている手紙を奪い取る。

「それじゃあ、猫の貰いての住所ありがとな、古城、姫柊。でも、今度は、普通の封筒に入れてこいよな、姫柊。誰かに誤解されたらどうすんだよ」

 わざと聞こえるような大きな声で喋る。

「とりあえず、古城は、浅葱と練習に戻れ、あとのことは俺と姫柊がやっておくからさ」

 雪菜の手を握り、その場から立ち去る。雪菜もこの状況を察したらしく話を合わせる。

「え、ええ。そうですね。あとのことはわたしと緒河先輩がなんとかしますので」

 彩斗と雪菜は急ぎ足でその場を後にした。




 陽射しは弱まり、赤い光に照らされながら、海沿いの道を歩く三人の影。
 いつものようにギターケースを背負う雪菜、うやむやになって浅葱との球技大会の練習が終わった古城、練習を抜け出してきた彩斗は、流れのように一緒に帰宅するようになった。
 古城は、部活で遅くなる凪沙の代わりに、夕飯の食材を買いにスーパーに訪れる。

 道中に、体育館の裏で拾った封筒にことについて話し合う。
 差出人は、アルデアル公ディミトリエ・ヴァトラー。戦王領域、第一真祖“忘却の戦王(ロストウォーロード)”の支配地を治めるもの。
 第一真祖といえば、眷獣を七十二体従える吸血鬼だ。真祖の眷獣は、都市一つなど簡単に壊滅させられるほど強力な眷獣だ。それを何十単位で従えているということは、文字通りの化け物だ。

 買い物を終え、帰りの道中に少し気がかりになっていたことを彩斗は口を開く。

「そういえば、その手紙、パートナーを連れてこいって書かれてなかったか?」

「そういや、そんなこと書いてあったな」

「パートナー?」

 雪菜が、ああ、と納得したようにうなずいた。

「そういえば、欧米のパーティーでは夫婦や恋人を同伴するのが基本なんですよね」

「独り身の古城には、無理な話だな」

「黙れ、ロリコン」

「そのネタまだ引きずるのかよ。じゃなくて、真面目な話どうすんだよ?」

 古城は考える。

「そういう場合は、知り合いの誰かに代役を頼むのではないでしょうか」

「代役……と言われてもな」

 古城は唇を歪める。恋人の代役なんてものが、古城にいるわけもない。それに今回は、吸血鬼がらみで凪沙や浅葱を巻き込むわけにはいかない。
 考え抜いたすえに古城が出した答えは……

「頼んでみるか、那月ちゃんに」

「確かに那月ちゃんなら適任だな、攻魔師資格も持ってるしな」

「先輩の体質のことを知ってて、攻魔師資格も持ってる異性が他にも近くにいると思うんですけど」

 雪菜の独り言のように呟く。古
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ