暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
06.戦王の使者
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魔力を感知した方向へと駆けた。
 魔力の感知した方向で見たのは、古城が鋼鉄のライオンと狼に前後に挟まれた姿だった。

「なんだよ、あれは……」

 彩斗は疑問を浮かべながらも鋼鉄の狼へと突進する。
 魔力を纏わせた右の拳が鋼鉄の狼の肉体を一瞬で砕け散る。

「彩斗!?」

 古城が驚いたような声でこちらに振り向く。それとともにもう一匹の鋼鉄のライオンが古城に襲いかかる。

「──先輩! 伏せて!」

 ギリギリのタイミングで、聞き慣れた少女の声が響いた。
 屈みこんだ古城の頭上を、風を切り裂く音とともに空を駆ける。
 それは銀色の槍。
 銀色の長槍は、疾風のごとく鋼鉄のライオンを貫いて粉砕する。

「姫柊!?」

 槍を投げて古城を救ったのは、いつもの中等部の制服ではなく、白地に青のラインが入ったチアの衣装を着た雪菜だった。

「無事ですか、先輩?」

「悪い、助かった。けど、姫柊、彩斗、どうしてここに?」

「すみません。先輩を監視していたわたしの式神が、攻撃的な呪力の存在を知らせてきたので、気になって来てみたのですが……」

「は? 監視? 式神ってなんだそれ?」

 古城の言葉に目をそらし、あからさまに、雪菜が、ぎく、ぎく、と肩を震わす。
 俯く彼女の横顔を、古城が無言でじっと見つめると、わざと咳払いをし、開き直ったように胸を張る。

「──任務ですから!」

「任務って……って、まさか彩斗……お前ェも式神かなんかで……」

「俺はただの吸血鬼だ。そんなもん使えるわけねぇだろ。ただ、魔力を感じたから走ってきただけだ」

 それはよかった、と言わんばかりに古城は安堵の表情を浮かべる。

「それよりも先輩、誰かに狙われる心当たりは?」

 雪菜は本題に入るように、一度咳払いをする。
 古城は当然、首を横に振る。

「でも、この術式は先輩を狙っていたというよりも……」

 独り言のように呟く雪菜は、地面に散らばる獣の断片を拾い上げる。それは、あまりにも安物の金属の薄片。

「それってアルミ箔?」

「はい。これも式神です。本来は、遠方にいる相手に書状などを送り届けるためのもので、こんな攻撃的な術ではないんですけど」

 するとすこし遠くの方から誰かの話す声がする。体育館の自転車置き場。下校中とおぼしき二人組の女子生徒が、フェンス越しにこちらを指差している。

「……姫柊?」

「すみません、先輩。”雪霞狼”を見られました。すぐに捕まえて記憶消去の処置を──」

「ま、待った、姫柊!」

「ちょっと、落ち着け!」

 槍を握り、飛び出そうとした雪菜を、慌てて二人で引き止める。

「そんなことはしなくても大丈夫だから!
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