最後の戦。そして───。
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たのだと思うと何だか今までのことが懐かしくなっていた。
と、干渉に浸っていると
「なかなかに絶景だな」
傍らから声がして目を向けると白衣らしきものを着た男が一人立っていた。
「茅場、晶彦・・・」
「現在、アーガス本社地下五階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去作業を行っている。あと十分ほどでこの世界の何もかもが消滅するだろう」
「残りの奴等は?」
「心配には及ばない。先程・・・」
茅場はウインドウを眺めて言った。
「生き残った全プレイヤー、6147人のログアウトが完了した」
「やはり、死んだ連中は戻らんか・・・」
「彼らの意識は帰ってこない。死者が消え去るのはどこの世界でも一緒さ。君とは、最後に少しだけ話をしたくて、この時間を作らせてもらった」
「ほう、ならいい機会だから聞かせてもらおうか。なぜこんなことをした?」
茅場は少し黙ってから答えた。
「何故、か。私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時、いやその遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創りだすことだけを欲して生きてきた。そして私は・・・私の世界の法則をも越えるものを見ることができた・・・。子供は次から次へといろいろな夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取りつかれたのは何歳の頃だったかな・・・。その情景だけは、いつまで経っても私の中から去ろうとしなかった。年を経るごとにどんどんリアルに、大きく広がっていった。この地上から飛び立って、あの城に行きたい・・・長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、シオン君。まだ信じているのだよ・・・どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと・・・」
「そうだな、俺もそんな気がする・・・」
俺はただ曖昧に答えた。
「・・・言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう、シオン君、キリト君、アスナ君、エリーシャ君。さて、私はそろそろ行くよ」
「ちょっと待て、後半聞き捨てならないことを聞いたんだが・・・」
茅場は振り返ると穏やかな顔で答えた。
「はて、何のことかな?」
その言葉を残し、茅場は消えていった。取り残された俺はため息を着いた。
「ったくあの野郎、最後の最後まで・・・」
そう言ってもう一度アインクラッドを見ると、もう半分くらい崩壊が進んでいた。
『シオン・・・』
ふと、聞きなれた声がした。しかし俺は驚きはしなかった。
「いたのかアルモニー・・・」
「まあね・・・」
白銀の髪、蒼い瞳、黒い服装。彼は初めて会った時と同じ格好をしていた。
「お客さんがいるんだけど」
「客か、まあ、|あいつ《
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