03 「叔母と、相棒?」
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上がっていいと言われた俺はファラを待機状態――人型に戻す。セットアップ時の形状は変わったものの、待機状態に変化はない。
いつものようにファラを胸ポケットに入れて部屋から出ると、白衣を着た女性と少女がこちらに歩いてきていた。
「お疲れショウ」
まず話しかけてきたのは、長い銀髪を無造作にまとめている女性。メガネの下にある瞳は綺麗な青色だが、その下にあるひどい隈のほうが目を引く。
彼女の名前はレイネル・ナイトルナ。俺や同僚からはレーネという愛称で呼ばれる。はたから見れば黒髪黒目の俺とは血が繋がっていないように見えるだろうが、れっきとした俺の叔母だ。
「お疲れ様です」
次に話しかけてきたのは、短めにきちんと切り揃えられている栗毛の少女。瞳はレーネさんと同じで青色だが、彼女よりも淡いというか澄んでいる。
少女の名前はシュテル・スタークス。俺と同い年でありながら、すでにデバイスマイスターの資格を持っている頭脳明晰な少女であり、父さんの研究が興味深かったということが理由でここに来たらしい。
冷静沈着で喜怒哀楽があまり出ないクールな子、というのが俺や周囲が抱いている印象になる。叔母のレーネさんが言うには、俺と彼女はよく似ているらしい。
「そっちもお疲れ様」
「いえ、仕事ですから」
「それを言うなら、俺も仕事になると思うんだけど?」
「…………」
少女は黙ってぼんやりとし始める。表情の変化が乏しいにも関わらず、それが分かってきたあたり、彼女とそれなりに親しくなったということか。
スタークスと出会ったのは、夏休みに入ってすぐ。テストマスターとしての職務を果たすために、ミッドチルダを訪れた日だ。俺の役目はファラの強化が終わってからだったため、その日は簡潔な自己紹介だけの会話だった気がする。ファラの強化が終わるまでの間は、散らかっていた叔母の家の掃除をしていた。
レーネさんが言うように、性格が似ているのかスタークスと話すのは全く苦ではない。スタークスもそうなのか、同年代が俺くらいしかいないからか、結構話しかけてくる。話の内容はデバイスに関することが主だったりするが。
「ここで立ち話もなんだし、お茶でもどうかな?」
「レーネ、良いのですか?」
「周りから必要のないときは休めと耳にたこができるほど言われていてね」
ふと周囲を見渡してみると、スタッフの人達がレーネさんを連れて行ってくれといった感じで見ていた。中には合掌している人までいる。仕事量が異常だから心配されているのだろう。俺と一緒にいたいとぼやいていたりしていて、気を遣ってくれているということもあるかもしれない。
「確かにレーネの仕事量は異常ですからね。休めるときは休んだ方がいいでしょう。……私は仕事に戻りますので、ごゆっくり
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