ルリム・シャイコースとの戦い X
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『捉えたぞ!神殺し!!!』
「なっ・・・!?」
タイミングは完璧のはずだった。全体的に動きの遅いこの神では、背後の護堂に気がついても絶対に間に合わないタイミングだったのだ。しかし、護堂の身体は、氷で出来た有刺鉄線のようなものによって捉えられてしまった。数万もの茨で雁字搦めにされた護堂は、身体から血を噴き出し、身動きすることも叶わない。
「ぐ、あああ!?」
『終わりだ!』
ズズズズズズズズズズズズズ・・・!
地響きが起こる。同時に、ルリム・シャイコースの真下の地面が、盛り上がっていくではないか!
「な・・・に・・・!?」
氷の有刺鉄線により身体の至る所に傷を付けられている護堂だが、その痛みも忘れて呆然とした。
ガラガラガラガラ!!!
『クハ、クハハハハハハハ!貴様が神速を使えることなど、既に承知よ!何の対策もしていないと思っていたか!?』
地面を割って出てきたのは、大氷山。ゆっくりと浮上した”イイーキルス”に乗るルリム・シャイコース。破壊された大地が崩れる音と共に、邪神の高笑いが響いた。
そう。先の攻防で、護堂が神速を持っていることを知ったこの邪神は、一計を案じていた。予め、切り札である”イイーキルス”を地面に潜らせ、穴を掘らせながら、この場所まで突き進ませていた。
クトゥグアの力を感じて怒り狂っていたのは事実だが、何の準備もなしに突っ込むほどに愚かではなかったのだ。護堂は、この邪神の罠にまんまと引っかかったことになる。
更に、護堂との間や自分の周囲に、目に見えないほどに細い、ミクロサイズの氷の糸を数万にも張り巡らせる。『神速』は、時間の流れを変えるだけで、決して空間転移などという能力ではない。つまり、護堂が移動するためには、自分の足で進まなければならない。
周囲に張り巡らせた、気がつかないほど細い細い氷の糸は、切れることもなく護堂の身体に巻き付いていく。そして、護堂が神速を切った瞬間、それら全ての糸に呪力を流して急成長させたのだ。
しかし、護堂がもしも、『神速』を使ったまま攻撃出来るほどに熟練していれば、この作戦は使えなかった。ルリム・シャイコースは、呪力を流す暇もないまま、何も分からずに切り殺されていただろう。
邪神は、命をチップとした賭けに勝ったのだ。
キィイイイイイイイイイイイイイ・・・!!!
ルリム・シャイコースを乗せた”イイーキルス”が、力を収束し始めた。その間にも、”イイーキルス”の高度はどんどん上昇していく。既に、護堂が手出しできる範囲ではなくなってしまった。空でも飛ばない限り、攻撃出来ない。
『万が一、貴様がこの状況でも逃げられる権能を持っていたとしても、既に遅い。念には念を入れて、この周囲一体を全て光で
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