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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十五話 管理局との契約 後編
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来れば戦いたくない相手などではない。
 戦ってはならない相手だ。
 超えてきた場数があまりに違う)

 グレアムはわかってしまった。
 管理局として、一対多ならまだしもこの状況では勝つことなど奇跡に等しいという事に

 戦う? 戦ってならない相手に挑む事自体無謀。
 逃げる? 全身が震えまともに動く事すら叶わない状況では無理だ。
 交渉? 彼を止めるだけのカードを所有していない。

 イメージの中で何回も、いや何十回も殺され続けている中で自身に残された選択肢が『死』しか存在していない事を理解してしまう。

 士郎はグレアム達の前に辿り着き、その右手にはいつの間にか無骨なナイフが握られていた。

「今後、はやて達とはどうするつもりだ?」

 グレアム達に喋れせるためだろう。
 士郎の殺気が薄れ、グレアム達は肩で大きく息を吐き出し、ようやく生きているという事を実感していた。

「はあ、彼女の生活の支援を続け、一人で羽ばたける時全てを話すつもりだ」

 乱れた呼吸を整えながら、士郎の問いかけに答える。

「そうか」

 士郎の言葉にナイフは霧散し、部屋を覆っていた殺気が霧散する。

「今夜、リンディさん達と話す場を設ける。
 そこではやてに全てを話せ。
 はやては貴方が思っている程、弱くはない」

 踵を返し、ドアに向かう士郎。

「今回は犠牲者が出ることなく終わった。
 最後に血を流す必要はない。
 故に見逃す。
 だがそれも最後だ。
 それとリーゼロッテ、ゲイ・ボウの呪いは消した。
 時間はまた連絡をする」

 士郎は淡々と伝え、ドアの向こうに姿を消した。

「……見逃してもらったという事か」

 椅子に体を預け、グレアムは大きく息を吐く。

(私にできることなど限られている。
 その中で私が出来る事をやっていくしかない)

 グレアムは静かに誓いを胸に秘め、椅子から立ち上るのであった。
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