プロローグ
佐為が来た!やったね!
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12月のある日の放課後、突然ヒカルがじいちゃん家に行くぞと言い出した。
それを聞いて心が踊った。間違いない。今日だ!佐為が来る!
直前に雨に濡れたのを覚えていていたので一度家に帰って
傘を持っていこうと言ったけど聞き入れてもらえず、結果雨に濡れてしまった。
その後ヒカルに案内され蔵に入って、二人で佐為の碁盤を見に行く。
そして予想通り、ヒカルには見えるあの時のシミが私には見えなかった。
それを確認して、そろそろ佐為が出てくると思い、
ヒカルには私帰るねと言いつつじいちゃんに知らせに行く。
ヒカルが倒れるのを確認しなくてもいい。
「おじいさん、ヒカルが大変だよ!」
こう言っておけば別に倒れてなくても問題ないのだから。
そうしてすぐにヒカルは病院に運ばれた。
これでヒカルも落ち着く。そして、ようやく私も本格的に碁が打てる。
気分がスッキリした私は、そこでようやく思い至った。
私は、何をしよう。いや、違う。何をすればいいんだろう。
晩年、緒方名人や塔矢と言ったとても強い人と何度も戦えた。
そして、勝つことができていた。塔矢とは五分五分だったけど。
国内の強者たちと打って、十分に強さを見せつけてきた毎日だった。
神の一手を探し求める毎日は輝いていたし、戻れるなら早く戻りたいが
せっかく道が開けているのなら、もっと別の相手とも戦ってみたいと思う。
外国のもっと強い奴と戦ってみたい。
そしてそれを叶えるなら、プロになるのは果たしてありなんだろうか?
いっその事ネット碁でもいい。
もう専業主婦は厳しいから何か手に職を持ちたいけど、
できればネット碁に明け暮れられるような暇な職がいいなー。
そう思いつつじっちゃん家の囲碁雑誌を流し読みしていて興味深いものを見つけた。
ペア碁選手権戦。男女のプロ棋士でチームを組んで交互に打って戦う、チーム戦。
そういえば、こう言うのがあったなと思いだした。
出たことは1回だけある。本当に1回だけだ。
たしかその時は私の碁とペアの女流棋士の囲碁のズレを突かれて初戦敗退だったか。
それからこれは見るほうが楽しいわって言って参加を避けたんだ。
塔矢は信頼できる女流がいないって言って一度も出ていなかったし……。
実際女流棋士の腕は当時の私達についていかなかった。
だから「そういう奴と打つなら、自分たちで打つ」って言って参加しなかったんだ。
新しい打ち方、別の相手。
今私が求めているのがそれならば、これは本当に使えるのではないか?
そうだ。いい考えだ。狙ってみよう。あの時の私と塔矢が信頼できる女流棋士の座を。
そして女流棋士を強くしよう。あの時の私と塔矢を見返せるように。
でも一人勝ちじゃつまらないよね
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