第三章
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。今みたいにアホみたいに大砲しか集めん能無しやなかったからな」
この大叔父から巨人を褒める言葉を聞いたことgない。僕もあの球団は嫌いだが。
「足立は力投したんやけれどな。最後には打たれてしもうたわ」
足立は無念の降板であった。その時セカンドにいたスペンサーは彼に握手を求めた。
その前に彼は西本に進言していた。足立はもう限界だと。
しかし足立はマウンドに立った。自分以外に巨人を抑えられるとは思えなかったのだ。だが打たれた。
スペンサーは心の中でこう言ったのだろう。
(足立、素晴らしいピッチングだった。君はよくやった)
だがこうも言ったのであろう。
(しかし野球は一人ではできないのだ。君一人で巨人には勝てない)
それは西本も痛感した。巨人にはまだ及ばなかったのだ。
西本のチーム強化は続いた。時には抜擢やトレードも敢行した。そしてドラフトでは有力な選手の獲得を目指した。そして昭和四四年には球史に残る素晴らしいドラフトがあった。
「まさか三人共獲得できるとは思いませんでしたよ」
フロントの一人が興奮冷めやらぬ顔で西本に対して言った。
「ああ、ほんまや」
西本も顔を綻ばせていた。この年のドラフトで入った者達のことを言っているのである。
富士鉄釜石から山田久志、松下電器から福本豊と加藤秀司。山田は右のアンダースローでありあとの二人は左投左打の野手だった。
山田のボールにはノビがあった。実際の速度よりも速く見える。そして変化球もあった。若いながら度胸も頭脳も備えていた。
福本には脚があった。そして守備での反応にも見るところがあった。加藤はバッティングである。西本は彼等を見て目を細めた。
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