第3部:学祭2日目
第14話『唯誠(ゆいま)』
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かわかってますね…」
「いや…それは…はは…」
律の笑顔が、だんだんとひきつり始めた。
やベえやベえ、このままだと大変だ。
そう思っている時、
「待って」抑揚のない、飄々とした声。「七海は、どこにいるの?」
刹那が無表情で、中に入ってきた。
「清浦!」
「貴方確か、1年3組の学級委員の清浦さん……」
グループの1人が、まばたきをする。
「まあね」刹那は感情のない声で、「七海、たぶん1日目は彼氏とデートしそこねたから、2日目は遊んでると思うけどな。七海の監視のない中で、貴方達が懸命になる理由って、ある?」
「あー…」
生徒の一部が、顎に手を当てて考え始めた。
うまいところついてくるな、と思いつつ、律は校門の入り口を見る。
世界が、何かを考えているような表情で、うつむいている。
「西園寺……」
一方の刹那は、強い視線で七海一派を見つめているが、
「いやあ…七海さまは顧問にも信用されていてさ、レギュラー選びの権限持ってるって話だし、逆らったら私達…」
言い返されてしまっている。
「って、そういう問題じゃないだろ」続いて一派のリーダーが怒鳴る。「とにかく、この人も貴方も、さっきから私達の邪魔ばかりしているけど、桂や秋山さんの味方なのか!?」
食いしばった歯の間から、しゃべっていた。
「やべえやべえ…」
律が尿意を催すほど怖気づいていると、メールが届いたという携帯振動がくる。
こそこそとその中身を見て、彼女はさらに青ざめた。
「唯の行方が分からなくなった…。沢越止にやられたらどうなるんだよ…!! 伊藤も何やってるんだよ…!!」
思わずとんとんと足をふみならしていた。
「うーん、別に味方と言うわけではないけれど…。ただ、七海がいないのに、貴方達が一生懸命になる必要はないのではと思っただけ」
一方で刹那は、飄々と答える一方、小声で律にもアドバイスを出していた。
「慌てて行っても、平沢さんの居場所は分からないでしょ? 私達は私達で、今ここに集中しましょうよ」
「でも…もし唯が襲われちまったら、どうするんだよ…」
律は冷や汗が出そうになりながら、小声で答える。
「伊藤や他のみんなに、期待するしかないよ」
押し倒され、思い通りに動けないまま、唯は制服のボタンを外されていく。
「嫌! 嫌!!…うっ、また…!!」
暴れ出すと、再び体に、痛みとしびれが走る。
「大人しくしてもらおうか。声を出されると困るのでな」
動けなくなった唯を、再び止はひんむき始める。
至る所に防音用の壁が置かれ、誰も来ないように思えた。
「やめろーーーーーーーーーーっ!!」
急に、大きな声。
思わず反応する2人。
突然入口から飛び出したのは、誠だった。
バキッ!!
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