『"Cannibal Candy"』
#3
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か……
「クロス・スズガモリ……」
「おや、覚えていただいておりましたか」
慇懃な態度で腰を折るクロス。顔を上げた時、その顔には慇懃というよりは勝気な色が浮かんでいた。口調も先ほどまでと変わって、本来の彼の物なのであろう喋り方に戻っている。
「昨日のうちに君のことを調べさせてもらった。学院の二回生にして《円卓》の第六位……ここまではおととい君に教えてもらったよな。登録コードは《君臨せし謀略》。自動人形は《魔剣》型オートマトン最初にして最後の一体、シグムント……」
「――――!?」
クロスが口にしたシグムントの情報は、本来ならばブリュー家の者を始めとする、ごくごく限られた者しか知らない情報だ。東洋のはずれから来た少年が知っているようなことではない……。
「……どこで知ったの?その情報。学院生の名簿には書いてないと思うけど……」
「自分で調べたのさ。こっちには調べものに向いた高性能な自動人形が付いてるのでね」
「……」
そう言えば、昨日からクロスの自動人形を見かけていない。王立学院はけっして自動人形がなければ入学できないわけではないが、基本的に機巧学院である以上、学院生及び教師のほとんどが人形遣いだ。
「いいわ。私に何の用?」
「いや何。ウチのバカ相棒が君の参加資格を貰い受けたいと言っていたのでね。手分けして探してたんだが……先にみつけたのが俺だった、ってだけさ。……というわけだ。君の参加資格を、譲り受けさせてもらおうか」
***
「おい、聞いたか!?日本の留学生が《タイラントレックス》に挑戦するらしいぞ!」
「へぇ?相手はイザナギ流のプリンセスか?」
「いや、なんでも二日前に来た男の新入り、しかも二人同時らしいぜ」
ライシンとクロスが立っているのは、学院の中央近くにあるコロッセオ。対峙するのはシャル。
「本物のバカ、バカの中のバカ、そびえたつバカ、輝くバカねあなた達!」
「知ってるよ」
「俺は学力的にはライシンほどバカではないのだがな……だが」
そしてライシンとクロスは、声をそろえて叫ぶ。
「「否定はしない!!」」
どどん。堂々と言い放った二人に、シャルは呆れ顔で言い放つ。
「バカの癖にニブチン?遅くて飽きられるタイプね」
「年ごろの女の子がめったに言って良い事じゃないぞ。ましてやブリュー家の令嬢殿が……もしかして非モテか?男どもの気を引くためにそんなことを言っているのか?」
「う、うるさいわね!さっさと始めるわよ!」
意地悪な笑みを浮かべたクロスの呟きにぐっさりと心を抉られたシャルは、涙目で宣言する。
「手加減なしでつぶしてや
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