§53 お隣さんの弊害
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などと加えながら苦笑で語る。
「そんなのは僕だけで十分だ。だいたい正攻法でウルスラグナだっけ?は倒せたのかい?」
「それは……」
「搦め手使ってなんぼ、じゃないのか?」
自分の時の事は棚に上げて。
「一旦ぶつかってみて、勝てなかったら撤退、周到にリサーチして言霊でぶった切るチート剣で相手に致命傷。こんなカンジなんだろ? 見たり聞いたりしての予想だから全部に当て嵌まらないしれないけど」
実際には数回戦闘を見ているのだが、それを言ってしまうと話が拗れそうだし隠すことにしてサラっと語る。
「……」
「今回さ。逃げもしないししリサーチして弱点を突く様子も無い。なんていうか、らしくないんじゃない?」
「らしく、ない……」
「僕は色々あった結果、一人で色々こなさなきゃでさ。だから色々な権能手に入れて色々出来るように、って色々色々言い過ぎか……」
最近は、色々任せられる背中が増えてきたから安心していられるけどね、と心の中で付け足して。
「でもさ。護堂は足りないとこを補えるワケじゃん? エリカさんやらリリアナさんやらいるし。神格を霊視する万里谷さんいるし。真っ向勝負にしなくても、観察眼で色々探りつつあれこれやってみてさ。分が悪くなれば呆気なく撤収して、それから対策を万全に練って容赦なく弱点を突く、それが本来の戦い方だろう?」
言っててなんだが、弱点対策練ってから再戦とかRPGだよなぁ、なんてことを漠然とだが思う。
「その本来の戦い方なら僕に勝てる可能性もあるだろうさ。自分の戦法封じておいて勝てるほど僕は雑魚なつもりないよ。使えるものはなんでも使ってこそ、でしょ?」
「……そう、だな。少し視野が狭くなっていたみたいだ」
しみじみと呟く。イケメン度三割増し、と言ったところか。相変わらず、何をしても絵になる顔だ。
「ちくせう」
「?」
爆ぜろリア充、などと思ったが伝わっていない。解説してやるのも癪だから本題を少し、続けよう。
「……いや、こっちの話。まぁさ、権能を上手に使えるようになるための実験台とかだったら手伝うから。まぁ勢い余って一回殺しちゃうかもしれないけど、権能の掌握をぶっつけ本番でやるよかは安全なんでない?」
それに予め把握しておけばそれを前提に色々作戦も練れるし。護堂にとっては有用な筈だ。
「死んどいて安全もなにもねぇよ。……なぁ、黎斗」
「ん?」
「その、なんだ。悪い、ありがとな」
「別にいいって。じゃあね、また明日、学校で」
「おう」
そう言って笑う護堂は憑き物が落ちたように晴れやかな顔をしていた。
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