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魔王の友を持つ魔王
§53 お隣さんの弊害
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わった……って、二人して何項垂れてんの?」

「恵那、どんな趣味を持っていても引かないから、大丈夫だよ」

「恵那さん。私はキツネですから、手を出さないでくださいね?」

「何言ってんの。あ、その書類の中で気に入った子いた?」

「「え?」」

 なんで話題をこっちに振ってくる?

「見たんでしょ? それ、黎斗さん宛のやつなんだけどさ。なんか傍仕えする人の立候補者?みたい」

「……なんで女の子ばっかなの? なんで恵那宛なの?」

「王様がハーレム形成してるなら、同年齢同国籍同性友人のれーとさんも同じような趣味だと踏んだんじゃないのかなぁ?」

 なんという風評被害だ。これは謝罪を要求せざるを得ない。主に護堂に。っていうか護堂に。

「しかもれーとさんの周囲にいる人間が恵那か甘粕さんしかいないでしょ? しかも甘粕さんは草薙さんのとこも良くいくからさ」

 あぁ、オチが読めた。

「恵那がれーとさん宛の取次全部やらなきゃいけなくなってるの!! 何コレぇもうやだぁ!!」

「あー、その、お疲れ様です……」

 つまりは黎斗の周囲の人間が恵那しかいないから、黎斗にコンタクトをとろうとすると必然的に恵那に接触を図ることになる。度重なるめんどくさい話に自由人たる野生児娘は疲労困憊、と。

「なんかその……ごめん」

 主に二重の意味で。

「おばあちゃまはおばあちゃまで早く子種貰え貰え言ってくるし」

「――――!!」

 何言っとんだそのおばあちゃまとやらは。一介の女子高生に言わせる言葉じゃないだろう。こんな形で女の子への幻想をぶち壊されるとは。

「というわけだからこの件が一段落ついたら頂戴ね。大丈夫、恵那は二号さんでも構わないから」

 なんでもないことのように言いつつ、「ボツ。馨さんに送り返す」とだけ書かれた袋に写真の束を押し込める恵那。

「まてまてまてぇ!!」

「マスター、ようやく春が来ましたねぇー」

 ニヤニヤ笑ってくるキツネがうっとおしい!!!!

「え、ダメ?」

 急に不安そうな声が聞こえてそちらを向けば、心細そうにこちらを見てくる恵那の瞳。

「駄目じゃないけど……って、あーもうちょっと外出てきますー!!」

 いかん、分が悪い。三十六計逃げるにしかず。変な空気を払しょくするために外へ逃げる。勿論、窓から。

「あ、れーとさん!?」

「……流石マスター。安定のヘタレですね」

 エルの言葉に、反論したいが涙を忍んで逃げ出した。


●●●


「……ふぅ」

 公園のベンチで、一人ため息を吐く。夕日が目に染みる。幸せそうに滑り台やジャングルジムで遊ぶ子供の姿に荒んだ心が癒されていく。やっぱ子供は素晴らし
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