番外5話『そしてリトルガーデン』
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口から血がこぼれそうなほどに内蔵はズタズタとなっている。いわゆる絶体絶命、絶不調な彼が攻撃に転じる余裕があるはずもなく、ただ受けることしかできない。
幸か不幸か、それがドリーの寿命を延ばすことにもつながっているのだが、もちろんそうやってブロギーの重い一撃を受けるだけでも体に衝撃が響き、傷ついている内蔵が悲鳴を上げる。
内蔵の傷だけでも常人ならば歩くことすらままらないほどのダメージを受けているにもかかわらず、未だに致命の一撃を避けることに成功しているのは、ドリーの意地か、それとももっと別の何かか。
とかく、一方的なブロギーの攻撃を受け続けるドリーに、しびれをきれしたのは他の誰でもない。
今回、ドリーの体内で酒を爆発させることを思い浮かべた人間。
3という数字のある奇妙な髪型をしている男。バロックワークスからの刺客、Mr.3だ。
「……なかなかしぶといな青鬼のドリー。どれ、一つ加勢してやろうガネ」
言うや否やドリーの足元へと彼自身の悪魔の能力でもあるロウを流し、ドリーの足元を滑らせる。
「なっ!?」
二人の巨人がお互いにだけ集中しているこの状況で、小粒ほどの人間がロウを流したことに気づけるわけがない。突然滑ってしまった足元に、ドリーの態勢がなすすべなく崩れ、そしてそれをドリーのライバルたるブロギーが見逃すはずがない。
「とったぞ、ドリー!」
ブロギーの斧が頭上高くへと掲げられた。
「一世紀、永い戦いだった!」
そのままがら空きのドリーの胸へと振り下ろされ――
「させるかぁっ!」
――なかった。
弾丸のごとく速度で飛来した人間。二人の巨人からして、まさに掌サイズでしかないその人間が。
ブロギーの斧を蹴り飛ばし、巨人たち二人の間に割って入った。
「人間!」
「きさまっ!」
決闘の邪魔をされたドリーとブロギーの怒声。
「巨人の馬鹿力の一撃を蹴り飛ばした? ……何者だガネ!?」
計画を邪魔されたMr.3の驚愕と狼狽の声。
それらに――
「決闘やりたいなら……かかってこいやっ!」
――ハントの決意の声が重なった。
振り下ろされたドリーの巨大な剣。
大の大人の身長を超えるボロボロの白刃にさらされながらも、ハントは焦る様子もなく、自身の掌をその刃に合わせて呟いた。
「人肌掌底」
何をすればそんなことが可能なのか。そう問い詰めたくなるほどに、刃の軌道が滑らかに、まるでそうなることが自然であったかのようにハントという小さな標的から外れて地面に突き刺さった。
既に内蔵がボロボロのドリーにとって、地面から返ってくる反動すらもが内蔵に響いて大きなダメージとなる。ごくりと、おそらくは漏らし
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